記念文
□「愛」をくれた存在―ひと―
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二人が出逢い付き合ってから2年が経った。
その2年はお互いにとって速いものであり成長が誰から見ても分かるようになった。
良く晴れた休日。
二人は藍の部屋にいた。
藍の人気は上がるばかりで最近では変装をしてもなかなか外を歩けない為日頃は「早く免許が欲しい」と嘆いている。
春歌と外でデートが出来ない分、空いてる時間は一緒に藍の部屋で過ごすようになった。
「藍くん」
ソファーに座って読書をしている藍に春歌は一言声を書けた。
目線だけを寄越す彼の目に入ったのは休憩を兼ねる為に春歌が買ってきたマリンゼリー。
「もう、3時?」
余程読書に集中していたのだろうか珍しく時間を忘れていた彼に微笑みながら査定の言葉を春歌は紡いだ。
「はい!食べますか?」
無垢な笑顔で聞かれれば頷くことしか出来ない彼を彼女は知らない。
「勿論」
ロボットなのに、心が産まれた。
それは、君を愛する気持ちから産まれたもの。
年を重ねるごとに、博士が余計な機能も付け加える。
名前の由来も知った。
ちゃんと気持ちを込めてくれたものだと知った。
それを知れたのも君のおかげ。
「あの時みたいに食べさせてあげる」
くすっと笑って見せれば彼女は顔を赤くしながらも嬉しそうに微笑む。
そんな彼女を見て彼に新たな機能が発動した....。
(僕は、春歌を食べたいと思ってる....?博士...また余計な機能を...)
でも博士は藍にとって産みの親。
こどもの成長を楽しく想う親なのだ。
「春歌」
「はい?」
「これからもずっと宜しくね」
微笑む彼に彼女も微笑む。
「はいっ!こちらこそ、宜しくお願いします!」
二人の間に新しい季節が何年も巡っていく。
スキャンダルのシャッターを押されても、二人の絆は変わらない...。
支えてくれる、応援してくれ仲間がいる。
ーーー君と紡ぐ音楽は僕に愛をくれた。
ーーー貴方はわたしに沢山の愛情を与えてくれた。
ーーーだからこう思うんだ。
ーーーですから、こう願うのです。
「いつまでも一緒にいてね」
「いつまでも一緒にいてください」
同時に紡ぐ言葉は二人の心に安らぎを与える言葉だった。
「勿論です、藍くん」
「勿論だよ、春歌」
微笑む二人は永遠の歌を紡ぐだろう....。
エンド