BLACK BIRD
□第六話
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・・・ここどこ?
・・・何でこんなことになってるんだっけ?
・・・そうだ、太郎ちゃんと実沙緒が・・・
『実沙緒・・・』
だんだんとはっきりしてきた意識の中でこれまでの経緯を思い出す。
いつものように学校から帰り、実沙緒の後にお屋敷に来てみたら、太郎と実沙緒が僧正に捕まり、連れて行かれそうになっていた。
二人に意識はなく、咄嗟に追いかけようとしたが、いつの間にか仕掛けられていた罠のせいで体が動かず、意識が途絶える中で最後に見えたのは僧正の不気味な笑みだった。
僧「・・・忘れたはないだろう」
僧正の声をきっかけに完全に意識が覚醒した。
目の前に広がっていたのは、縄につながれた実沙緒。雛の隣には太郎もいた。
太郎は実沙緒を助けようと僧正に静かに攻撃を仕掛けようとしたが・・・
バシッ
ダンッ
太郎が壁に叩きつけられる前に、雛は太郎を受け止めた。
『けほっけほっ・・・』
実「太郎ちゃん、雛・・・・・・!」
太「姫さまぁ・・・けほっ、雛さまぁ」
僧「・・・太郎」
太「そ・・・僧正どの、おやめくださいこのようなこと・・・!」
僧「勝手についてきただけのくせに邪魔するなら容赦しないよ。どうだ?匡に鍛えてもらって少しは強くなったのか?
. .
また成果を見てやろうか」
ビクッ
太「あ・・・あぁ・・・」
雛は僧正が捕まえようとした太郎から引き離し、庇った。
『もうやめて、僧正さん』
僧「そういえばまだ君の名前を聞いていなかったね。いつも実沙緒と一緒にいるみたいだけど・・・たしか雛だったか?」
『あなたのような人に名乗るななど持っていません』
僧正がふと振り返った先には匡が立っていた。
僧「・・・・・・へぇ。案外早かったな」
匡「太郎を・・・雛を・・・実沙緒を放せ!僧正!」
実「匡・・・」
僧正は匡を横目で見ながら実沙緒を引き寄せた。
実「っ・・・」
僧「匡、実沙緒はね。忘れちゃった記憶を取り戻したいんだって。協力してくれるだろう?」
匡「な・・・」
ドッ
実「・・・い、いやぁあああっ」
実沙緒は信じられない光景に叫んだ。
実「匡」
僧「ほら」
実「匡!なんで・・・」
僧「いいからごらん」
実「や・・・」
僧「見えるだろう?」
実「!あ・・・」
匡「・・・そうか。おまえか、祥。実沙緒の記憶を封じたのは・・・!」
僧正が言った「見える」という言葉を匡が言ったことで理解する。