BL

□ゆがんだおうこく
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ゆがんだおうこく
(魔王@マオ*初代棒@ゆうぎ)
(閉じ込め・精神崩壊)



1☞ゆうぎと獏良君
もうひとりのぼく、そんな存在がいるのだと獏良君は言う。

「彼は怖いんだよ?千年パズルに触ると子供でも女子でも友達でも、なあんでも罰ゲーム!なんだからさあ!」
「ばつげえむ・・?」

千年パズル。馴染みがあるなんてもんじゃない、ぼくのたからもの。だから、もうひとりのぼくにもたからものなのかな?でも、罰ゲームってなんだろ?
そんなぼくの問いに獏良君はにこりとスルーした。

「バクラは奴は番人だからっていうけど、僕は違うと思うんだあ。ゆうぎ君の宝物で、二人を繋いでる物で、だからじゃないかな?」

そう、なのかな?
獏良君や杏子からの話だと、もうひとりのぼくはとんでもなくカッコイイらしい。
そんな彼が、少しでもこんなぼくに好意をもってくれていたのならーどうしよう、とてつもなくうれしいや!

「・・ん・・」
「あれ、どうしたの?ゆうぎ君」
「うん・・あのね?最近いつも眠たいんだあ・・」

なんか眠気に誘われてるみたい。ふわふわする・・。

「ふふ、いいよ、寝て」
「ごめんね・・獏良君・・」

こてんと眠りに落ちる前、かあっと千年パズルが光った気がした。

[ー嗚呼、待ちわびたぜ、]


2☞マオ
開いた腕の中へふわりと落ちてきた小さい体。
姿を借りていても心の部屋、いや迷路というべきここでは本来の番人の力によりマオにはまがまがしさが隠し切れない。まるで母なるものが幼子を見つめる目でマオはゆうぎを見つめていた。

「・・また傷が増えたな」

柔らかい頬には擦れた傷がみえる。淡々としてるのは付けた相手はもう罰を受けているからだった。マオにとってその他はあくまでその他であり、それこそゆうぎが泣こうがその他で他なかった。だからこそ、死のうがどうでもいい。
番人。神々しい名の裏は本来はまがまがしくあり、マオは今や腕の中に眠る存在に依存していた。ゆうぎの意志関係なくここへ引きずりこむほどに。

「・・もう永遠に閉じ込めようか」


3☞
(きらきら、そうきらきらしてたんだ。
家族も、学校の友達も、デッキも、キラキラキラキラしてたんだ。)

「ううっ・・ひっく・・」

高い嗚咽が響く部屋。真っ白なそこには本当にゆうぎしかいなくて、唯一存在を許されたゆうぎはただ泣くだけだった。
かつんかつん。廊下からゆうぎ以外の唯一の存在の音がした。

「また泣いてるのか?目がはれてしまうだろう?」

ふう、う、と泣き止めないゆうぎを咎める声音ではなかった。唯一の存在にだけ感情を送るから、無条件にその感情は重苦しく成り果ててしまっていた。愛しさに満ちた声は、しかしやはりゆうぎには馴染みのない恐怖のもとにしかならなかった。

「おうち、おうちかえしてよお・・」

彼には馴染んだここは、ゆうぎの中をぐちゃぐちゃにする。それはまがまがしい番人と普通の人間の普通のことで、しかし彼はまがまがしさから許せぬことだった。

「まだ、そんなことを言うのか」

ゆっくり、しかし確実に、ここは彼に従順に、ゆうぎのすべてをむしばんでいた。
もうゆうぎに友達はわからないし、遊びもわからない。
しかし今だゆうぎは家族を覚えていたらしかった。

「ならば、この俺がそれを食ってやろう」

ただただ泣くゆうぎの頬に指を滑らせ、むしゃむしゃと番人は記憶をむしばんだ。

「・・これで、お前には俺だけだな」


4☞w
「マオ!」

呼ぶとマオはなんだ、ゆうぎ、ってふんわり笑ってくれる。マオが笑えばぼくもうれしくて、笑う。
なんだか、おかしいな。

「ねえ、今日はなにする?」

道具も何もない、ただ二人がいれば出来る言葉遊び。
マオが口を開く。
やっぱりマオはなにもかも理想だと、ぼくはぼんやりおもった。

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