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□雨の出会い 3話
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翔君の声で、彼女が席に戻ろうとした時だった。
他のファンの子がTシャツをひっぱった。

「あっ!」
一瞬だった。
そこに他の子も群がり始めて、彼女が呑み込まれていった。

M「加奈ちゃん!!」

スタッフの人も一緒になって、なんとかその場をおさめることができた。

彼女の方にかけよる。


M「大丈夫っ!!」

「あ、なんかすいません…」

なんでこんな時まで…

S「君のせいじゃないよ、気にしないで。」

M「立てる?」

「はい…だい、っ!」

N「…足ひねっちゃったんじゃない?」

「…そうみたいです。えへへ…」

M「楽屋つれてくっ!」

S「え?ちょっと、松潤!!」


居てもたってもいられなくなった俺は、彼女を抱えて楽屋に向かった。その方がゆっくりできるし…

今考えたら、いわゆるお姫様抱っこだったわけで…

まぁ、そんなこと考えてる余裕すらなかったけど。
先生を呼んでもらい、治療してもらうことになった。

その間二人でいる時もずっと謝っていた。


M「元はといえば、俺がTシャツを渡したせいで…ごめん。」

「それは違いますっ!私がすぐ手を離せばよかったんです!…でも」

M「でも??」

「せっかく頂いたものでしたし、手放したら失礼です!それに…嬉しかったから…」

最後は少し小さい声で照れながら話す彼女を見て、俺は今すぐにでも抱きしめたい!という衝動にかられたが、なんとかこらえた。
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