後藤 誠二

□その手を握るのは、オレ。
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後藤さんとヒロインは、付き合っていません。

公式サイト戦隊ヒーロー編後藤√ネタバレ&捏造です。

ご注意を。


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区民祭の後、ユキ、SP、公安のみんなは、料理屋での打ち上げで盛り上がっていた。




そんな中、昴と後藤が、飲み比べ勝負を始めたのだが…。

後藤はあえなくギブアップ、酔いを醒ましに出ていってしまった。


ユキ「後藤さん、大丈夫かな?あんなに飲んでたし。」



こんどは昴と黒澤が飲み比べを始めている。

みんなが そちらに気を取られているうちに、ユキはそっと中庭に出た。

そうでもしないと、SPのみんなに止められてしまう。

ただ、後藤が心配で、ちょっと様子を見たいだけなのに。




後藤は中庭のベンチに、項垂れて座っていた。


ユキ「あっ、後藤さん、大丈夫ですか?…そうだ、お水持って来ますね。………えっ?」



戻ろうとしたユキの腕を、後藤が掴む。



後藤「ここに居ろ、隣に座れ。」


後藤はかなり酔っているようだ。



後藤「アンタの周りにはいつもアイツらがいるな」


ユキ「えぇ、まぁ、そうですね。」


後藤「公安だってな…、守ってやれるんだぞ…」


ユキ「……?」



後藤は突然、ユキを正面から見据えると、ぎゅっと抱きしめた。



ユキ「えっ?あ、あの……////」




後藤「オレだって、SPに負けない位…」


後藤は目を閉じている。眠ってしまったのか?



ユキ「困ったなぁ…。私一人じゃ運べないし…。誰か呼びに行かなきゃ。」


ユキが、抱きついている後藤の手を外そうとすると、逆に 手の力が強くなる。


後藤「どこ 行くんだ?」



ユキ「後藤さん、このままじゃあ……誰か呼んで来ます」



後藤「そんな事しなくていいから、少しの間、肩を貸してくれ。」


ユキ「え……」



構わず、後藤はユキの肩に頭を乗せる。



後藤「アンタ、アイツらを どう思ってる?」


ユキ「みんな、頼りになるし、優しい人たちですよ。」


後藤「じゃあ、オレは?」


ユキ「………?」



後藤「ユキ…オレだってな……」



後藤はユキの手をギュッと握ると、そのまま眠ってしまった。


ユキ「あ、寝ちゃった。どうしよう?……でも、後藤さんの寝てる姿、カワイイかも…////」


ユキは、後藤の寝姿の可愛らしさと、触れている暖かさに、手を振り払う事ができなかった。




暫くそのままでいると、人の気配が。

現れたのは石神だった。




石神「後藤?……珍しいですね。こんな姿を見せるのは。」




ユキ「石神さん、ちょうどいい所に!……後藤さんが寝ちゃって動けないんです。一緒に中へ連れて行ってくれませんか?」




石神「いや、敢えてこのままというのも いいでしょう。ここまで気を緩めるのも珍しい。ククッ、……ユキさんが我慢できなくなったら、叩き起こしてやって下さい。……では。」





ユキ「えっ? い、石神さん!?………帰っちゃった。仕方ないなぁ…後藤さん、たまには ゆっくり休んで下さい。」


ユキは、暫くそのままで、夜空を眺めているしかなかった。





翌日、後藤からメールが来た。

昨夜は、ベンチに座り、ユキが来た所までは憶えているが、その後が…。

SPたちにはキレられるし、石神には 弱みを握ったとばかりにニヤリとされるしで。


自分が何をして、何を言ったのか気になる、という内容だった。



ユキ「うーん、メールで教えるのも何だし……かといって、直接会って話すのも、どんな顔していいか わからないよ…」


暫く、メールの返事に悩んでいると、また後藤からメールが。




次の後藤の休日に、滝を見に行かないかという誘いだった。

その時にでも話すのが いいかもしれない。
多分、後藤も そのつもりなのだろう。





数日後、二人は、郊外の自然公園へ 滝を見に出かけた。


ユキ「誘って下さって、ありがとうございます。こんな近くに あったんですね。」


後藤「なかなか いい滝だろう?もっと近くで見られるぞ。行くか?」


ユキ「はい、行きたいです!」


二人は、滝の傍に向かう山道を歩きだした。


後藤「ところで この前の打ち上げの時、オレは何したんだ?」


ユキ「えっと………////」


歩きながら、ユキは、あの時を思い出し、顔を真っ赤にして 話した。



後藤「マジかよ…////」


後藤は、照れ隠しなのか、少し歩きが速くなった。滝に、かなり近づいている。


後藤「この辺は滑りやすいから気をつけろ。」


ユキ「はいっ!」



ユキが、遅れまいと、少し早足になった、その時。



ズルッ



ユキ「きゃあっ!!」

後藤「おいっ!!」


どうにか、後藤がユキを抱き止めた。


後藤「…ったく、言ったそばから足を滑らすなんて。だからアンタは、ほっとけないな……」


ユキ「ごめんなさい…////」




すると、後藤はユキを抱き止めたまま、何か囁いた。



後藤「このま……………」


ザァー!!



ユキ「えっ?」



ザァー!!


後藤「………………たい」





ユキ「あのっ?」



ザァー!!



もう、後藤は何も言わず、ただ笑っている。




ユキ「もう、大丈夫ですから…////」



後藤「あ、あぁ……////」


後藤は、ようやく体を離した。
が、今度はユキの手をギュッと握る。


後藤「アンタ、またコケそうだからな」


結局、手は、駐車場に戻るまで そのままだった。




車の前で。


ユキ「あの…車に乗りますから、手…」


後藤「あ、あぁ、すまない」





車は やがて、ユキの家に着いた。



ユキ「今日は、ありがとうございました。楽しかったです!」


ユキがそう言って車を降りようとすると、後藤に手を掴まれる。


ユキ「えっ?後藤さん?」



後藤「なぁ、ユキ。その……オレがまた酔い潰れる様な事があったら…」


ユキ「ふふっ、またその時は介抱します。…でも、無理はしないで下さいね。」



後藤「あぁ。」



ユキ「……あの、手を……」



後藤「あ、すまない。……アンタの手、あったかいな。…じゃあ、またな。」


ユキ「はい、また誘って下さいね。」






後藤(ユキの手、暖かかったな……)



ユキと別れた後の帰り道も、後藤の心は、まだ ふんわりと暖かかった。






――END――

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