石神 平安絵巻・一

□石神大納言伝 番外編 重陽
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♪今日は石神さんの誕生日♪
(≧∇≦)ノシー☆

大納言様、おめでとうございます!!
m(_ _)m

…あれ?どうしたのかな?


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登場人物


石神大納言ーーー学者で侑紀の元家庭教師。侑紀と恋に堕ち、異例の結婚。


侑紀内親王ーーー平泉帝の皇女。身分を越え、石神に降嫁。


龍樹(タツキ)ーーー石神と侑紀の息子。


みどりーーー侑紀の侍女で幼なじみ。


萱島(カヤシマ)ーーー石神邸の最古参侍女。御年五十歳とのウワサ。










教え子の侑紀内親王と身分違いの恋に堕ちながら、思いがけず許されて結婚した石神。

大納言に出世し、息子も生まれて幸せの絶頂!!

…の筈なのだが。

近ごろ、少しだけ、表情が浮かない。




九月上旬のある日。


侍女「ねぇ みどりさん。石神さん、昨夜も連敗記録更新ですよ?…お気の毒に。」


みどり「そうねぇ…。侑紀様には、乳母を雇うべきだって、再三お話してるんだけど。わかってないのよねぇ…。本当の理由も、伝えるべきかしらね…。」





石神夫妻の夜の生活は、毎朝侑紀に衣服を着せる担当侍女に把握される。

高貴な女性は、自分で衣服を着ることが出来ず、侍女に任せきりになるからだ。



龍樹が生まれても、侑紀は乳母を付けず、自分の手元で育てていた。


そろそろ、龍樹を独り別の床で寝かせようと思っていたが…
この頃、逆に母親に密着して眠る様になってしまったのだ。


イチャイチャ出来ない日が続き、侍女たちには同情される…。

石神の憂鬱の原因は、コレだった。



この日、五条の石神の邸から、三条の侑紀の邸に贈り物が届けられた。
届いたのは、九日の重陽(菊の節句)で菊花酒に使う酒と、みどり宛の手紙。



みどり「私に?…あら、萱島さんからだわ。」



“……こちらは大納言様のご帰宅が少なく、少々寂しいですが、ご夫婦仲がよろしい証拠と喜んでおります。……少しですが、九日の菊の節句用のお酒をどうぞ。
……そういえば、大納言様は、この日に お生まれでした。古くから石神家にお仕えする私には、特別な日でございます。龍樹様もそろそろ袴着ですし、今回、何か特別な事はされますか?何なりと、お申し付け下さいませ……”




みどり「あっ、そうだ!!」


みどりは、ひらめいた。





三条邸の庭では、この時代、貴族でさえ まだ貴重な菊の花が、たくさん咲き乱れていた。


みどりは、庭の菊をいくらか切ると、手紙と共に五条・石神邸に送った。


“……お酒のお礼に菊を送ります。どうぞお楽しみ下さいませ。
…ところで、お願いが……”



普通、人は皆元日を区切りに年を取るため、個別の誕生日を特別に祝う習慣は無いのだが……

いい機会!二人の為に一肌脱ぎましょう!








九日。

石神は、当日朝から重陽の節会のため、宮中に出仕しなければならなかった。




侑紀「秀樹さん、今夜も来て下さいますか?」

↑あくまでも 通い婚


石神「もちろん。ただ、酒宴になるから多少遅くなるかもしれないが」



みどり「石神さん!今日は なるべく早く来て下さい!!」


石神「えっ、みどりさん、何か有りましたか?」


みどり「あっ、いえ、今夜はウチも菊の節句をお祝いしようと思って。…ほ、ほら、去年帝から賜って植えた菊が、見事に咲きましたから。自分の邸で菊を愛でられるなんて、素敵でしょう?」



石神「それもそうだな。侑紀、楽しみにしてるから。」





何も知らない石神は、侑紀に優しく微笑みかけ、宮中へ出掛けて行った。




侑紀「ねぇ、みどり。今日は何か予定があるの?」




みどり「侑紀様、実は…」









夜、まだダラダラと続く酒宴から巧く脱出した石神は、宮中から直接、三条の邸へ向かった。



庭では篝火が焚かれ、咲き乱れる菊の花を美しく照らしていた。


石神と侑紀は、侑紀の居室の簀子から眺めている。



石神「見事だな」




侑紀「今日もお疲れ様でした。もう宮中で召し上がったでしょうが、どうぞ。」



侑紀は、盃を渡すと、酒を注いだ。

白い盃に浮かぶ 白・黄・赤紫の花びら。


石神は、スッと一息に飲み干すと、侑紀に盃を渡し、同じ様に菊花酒を注いだ。


酒に強くない侑紀は、少しずつ口にしたものの、それでも、程無くほんのりと頬を染めた。




石神「そろそろ 中に入るか。」



侑紀「はい。」



…と、そこで、石神は 漸く気付く。



石神「ん?龍樹は?」



てっきり、大人しく寝ていると思っていたのだが、ここにはいない。



侑紀「今夜は みどりと一緒に五条へ泊まりに行きました。方違え、ですって。」



石神「俺の邸に?龍樹が方違え?大人じゃあるまいし。…萱島、孫でも預かった様な気になってるだろうな。」



それはそうと。



侑紀「今夜は、久しぶりに二人きりですね。」



石神「あぁ。…そうだ、被綿(キセワタ)はどうした?」



ーーー被綿とは、八日の夜のうちに 菊の花に真綿を被せて、香りと夜露を染み込ませたもの。
九日の朝 花から外し、これで顔や身体を拭い不老長寿を願う。




侑紀「半分は五条へ送って差し上げて、残りは文箱の中に。でも、もう こんな時間ですから、あんまり…」




石神「そうか。…仕方ないな。」



侑紀「???」



石神「今日は菊の薬効を 宮中で存分に受けて来たから…俺が被綿代わりだ。」




侑紀「えっ…/////」



石神は、スッと#NAME1#を抱き寄せた。


額・左頬・右頬…と口付けを落とし、唇を重ねると、念入りに口内を舌で探る。



侑紀「ん…んんっ…秀樹さん…」



菊と酒の香りが口移しされ…




石神「全身、日付が変わらないうちに済ませておこう。」




石神は、首筋に唇を這わせながら侑紀を押し倒した。



侑紀「はぁ…秀樹さ…ん…」



石神「侑紀…」



侑紀の白く柔らかな肌に触れるのは、どのくらいぶりだろう?






石神「身体の…隅々まで、な?」




侑紀「あぁっ、…あっ…」





石神「ハッ…侑紀…顔が…赤い…な?」



侑紀「……少し…酔った…みたい…です」




(貴方に……………/////)











その頃…五条邸では。




みどり「萱島さん、素敵なご提案、ありがとうございました!」



萱島「いえいえ、皆さん 二人目のお子様を、首を長くして待っておられますからね。もちろん、私も。」



みどり「お二人、うまくいきましたかねぇ?」


萱島「そりゃ、イッてますよ!…って、あらやだ、みどりさんったら、何言わせるのっ!」



バシッ!!


みどり「痛っ!!」



龍樹「う〜ん……」



「「シーーーーッ!!」」








ーーーーー重陽編 了ーーーーー







大納言様に、二人きりのアツい夜をプレゼント( ̄∀ ̄)


お楽しみ頂けましたか?
 

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