石神 秀樹

□部屋とYシャツとネクタイとメガネと横分けと…私。
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♪部屋とYシャツとネクタイと眼鏡と横分けと……私
愛するアナタのため……?



私は今、石神さんのマンションにいる。

石神さんは仕事で、何時に終わるかわからないけれど、今日はここで留守番。


今日は天気がいいし…、
石神さんの奥さんになった気分で、張り切って お洗濯とお掃除しよう!



石神さん、普段から整理整頓が行き届いてるし、…あんまり帰って来ないから、部屋はそんなに汚れてないけど。


カタッ


リビングで掃除機をかけ終えると、サイドボードの辺りで小さな物音が。



「あれっ、何か落としちゃったかな?」

ハタキをかけた後、何かがずり落ちたみたい。


覗き込むと、壁とサイドボードの間に何かがある。

思いっきり手を伸ばして、ようやく取れた物は…。



「石神さんの眼鏡だ…。」


でも、レンズが片方無いし、フレームは引っ掻きキズが付いて、少し歪んでいる。



「壊れてるのに、何で捨てないのかな?」


と、言いつつ、掛けてみる。


ぼわ〜ん


片方だけ度のきついレンズがあるせいで頭がクラクラする。

あ〜、ダメだ。

すぐに眼鏡を外し、洗面所の鏡の前に行って掛け直す。


足元には、洗濯カゴ。

私は、ふと思い付いて、そこから石神さんのYシャツを取り出して着てみる。


「ネクタイも、欲しいかな。」


私は、お洗濯そっちのけで、すっかり いたずらっ子気分になっていた。


ネクタイを締め、髪をショートヘア風に後ろで緩く纏めて…。
そうそう、前髪は水で濡らして横分けに。




……こんな感じ?




Yシャツから漂う、石神さんの匂い。


なんだか、幸せ♪



片手で眼鏡をクイッと持ち上げて。



「まったく、貴女というひとは…。」


『ただいま。…………何 してるんだ!?』



「わっ!?」
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