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□夏祭り
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夏祭りもそろそろ終盤になり、俺達は花火をみることにしたのだが…
「柳さん、こっちっすよこっち!!」
「ど、どこへ行くんだ赤也…?」
赤也は依然俺の腕をグイグイ引っ張り進み続ける。
「花火、すっげー綺麗に見える場所があるんすよ。」
そういって連れて来られたのは神社からほど近い所にある高台だった。そこは俺もその存在を知らなかったほど人気のない場所にあった。
「なるほど…確かにここならよくみえるが赤也はどうしてこの場所を知っていたんだ?」
「昔親父に連れられて来たんす。今もこの場所が残ってるか不安だったんですけどね。」
それから程なくして花火が打ち上げられ始めた。色鮮やかな花火が次々と打ち上げられ、赤也なんかはずっと感嘆の声をあげながらみていた。
しばらくするとふいに右手を握られる感触があった。
「誰もいないし、ね。」
俺は少し恥ずかしさもあったがそれでも赤也の手を握り返す。
赤也のぬくもりを感じながら見る花火はさっきよりも少し明るく感じた。
花火もそろそろ終盤にさしかかったとき、ふいに赤也が口を開いた。
「ねえ、柳さん。」
「どうした?」
「また来年も再来年もその先もさ…俺達2人でこうして過ごせるかな。」
「…さあ、どうだろうな。未来の事など誰にも分からない。」
「そう……っすよね…」
「でも俺はこの先もずっと赤也と過ごせたらと思っているぞ。好きな人とずっと一緒にいたいというのはわがままだろうか?」
「…!!全然わがままなんかじゃないっすよ!俺だってずっと柳さんと一緒にいたいっす!もー大好きですから!」
そういって赤也は俺に思い切り飛びついてきた。バランスを崩しそうになるがなんとかたえる。
「絶対離しませんからね!」
そのとき最後のスターマインが盛大に打ち上がった。
今日の事はずっと忘れないようにしたいと、そう思った。
fin.