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□夏祭り
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『夏祭り、か…まあたまには息抜きも悪くないだろう。』
夏休みのある日、俺は恋人である赤也に誘われて夏祭りへ行くことになった。
最近は夏の大会への練習で2人で出掛けることなんてほとんどできなかったから今日は何だか楽しみだ。
浴衣を着て、祭り会場である神社に集合時間10分前に着く。
赤也はいつも集合時間ギリギリにくるくせに今日は俺よりも先に来ていた。
「赤也、今日は随時と珍しいな。」
「え?ああ、なんか…ひさびさに柳さんとデートできるって思ったら妙に気合い入っちゃって…」
赤也ははにかみながらそう言った。
「ふふっ、しかしその気合いを普段の練習や勉強に使ってくれるともっと嬉しいのだがな…?」
「えぇ〜柳さんってばそんなこといわないでほしいっすよ〜」
「まぁまぁ、冗談だ。」
その後も赤也は少しムスッとした様子だったが、神社に並んだ沢山の屋台をみたらそんな事は忘れてすっかりはしゃいでいるようだった。
「全く…単純なやつだ」
「柳さん!!たこ焼きありますよたこ焼き!!一緒に食べましょーよ!」
「ああ、分かったからもう少し落ち着いたらどうだ?」
俺が笑いながら言うと赤也は、柳さんと2人だけなんだからはしゃがないわけがない、と言った。
その後も俺達は夏祭りを満喫した。射的やヨーヨー釣りなど…どれもこういった時くらいしかできないからな。
金魚すくいなんかは赤也は随時と張り切っていたようだった。
「見ててくださいよ柳さん!!俺絶対沢山すくってみせます!」
「ほう…赤也がそんなにすくえるとは思わないがな。」
「バカにしないでくださいよぉ…俺だってやるときはやるんっすかね!」
そうして意気揚々と金魚すくいを始めたわけだが…やはり結果は予想通りのものだった。
「くっそーーなんで一匹もすくえねーんだよぉ…」
「ふふっ残念だったな…よし、では次は俺がやろう。さっきの赤也のをみて大体のデータはとれたからな。」
「えぇ!?データとってたなんてずるいですよ!」
「ずるい?さて、なにがだろうな?」
そして俺は金魚すくいを始めた。ポイを水へ入れる角度、タイミング、金魚の動きの予測…ふむ、やはりデータ通りだな。
「1、2、3……7。7匹って…やっぱりアンタすげぇ…」
「ふふっまあ当然の結果だろうな。」
俺は冗談まじりにそういったのだが赤也はなんだかとても悔しそうだった。さすがに俺1人で7匹も持ち帰るのは大変なので半分を赤也にやったらさも嬉しそうな様子で金魚を眺めていた。
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