賢者の石

□魔法薬学の授業(前編)
2ページ/4ページ


そして、私が変形したと同時に対峙していたジャイロゼッターが動き始めた。
まずは、杖を手にして辺りを見回す。

ターゲットは6体。これを私1人で倒さなければならない。
効率よく倒すために、今回新たに搭載された機能を使ってみる。

「シールド展開!」
すると、私とターゲットを大きな円が取り囲んだ。

この機能で円の外への攻撃は無効になるため、周りの人に危害が及ばないようにしているのだ。



さて、ターゲットもかなり近づいてきた事だから一気に片付けようかな。


私は杖を空を切るように動かし、ルーンを描いた。

足元に魔方陣が現れ、ターゲットまで広がっていく。


「地震!」

そう唱えると同時に地面が割れ、取り囲んでいたターゲットが次々と呑み込まれていく。




周りのターゲットはいなくなり、上空に  [mission complete] と文字が映し出された。


すると、ポケットに入れていたジャイロコマンダーから聞き慣れた音声が聞こえてきた。

画面を見ると、そこには1人の女性が映し出されていた。

「サキさん。」

『ヒナコさんね。 先程の様子は本部から見させてもらったけど、無事に終わったようね。』

「はい! シールドシステムも無事作動したので、訓練の方も安全に出来るのではないかと思われます。」

『そのようね。 ところで・・・“あの話゜の事、覚えているかしら?』

゜あの話゜―――私以外のアルカディアメンバーには極秘で勧めている計画の事だ。

「はい。 ですが、あの子達にとっては少々危険ではないのでしょうか?」

『・・・そうね。 だけど、これを成し遂げなければ私達アルカディアに未来は無い。 そう総司令が言っていたわ」


私達に未来は無い・・・・・


その危険とも言える計画に、皆が協力してくれる訳がない。


「本当に、成功するのでしょうか。」

『それは分からないわ。 だけど、これ以外の方法では絶対に成功しない。」
抑揚の無い声でサキさんが言う。


そう、絶対に。
これを知ったら皆が悲しい思いをする事だろう・・・。

だけど、総司令達だって私達と同じ位悲しい思いをしているんだ。



「・・・・・そうですか、分かりました」

『良かった。 あの子達の事、頼むわ』

「はい。」



終わりを告げる電子音が、虚空に響いた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ