賢者の石

□入学式 〜宴〜
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それはさておき、私達は組分けを無事に終了する事ができた。(←ここ重要!)

マクゴナガル先生が巻紙をしまい、帽子を片づけた所を皆で眺めていたその時、校長先生の話が始まった。

校長先生はとても嬉しそうにニッコリと笑って言った。

「おめでとう! ホグワーツの新入生、おめでとう! 歓迎会を始める前に、二言、三言、言わせていただきたい。では、いきますぞ。そーれ! わっしょい! こらしょい! どっこらしょい! 以上!」

校長先生は席につき、出席者全員が拍手をし歓声をあげた。

・・・・うん?

あれっ、話ってこれだけなの?

カケルとりんねちゃんも同じ事を思っていたみたいで、目を丸くしていた。ハリーは表情が固まっていた。

こんなに短い話は日本では絶対に有り得ないと言っても過言では無い。

「あの人・・・ちょっぴりおかしくない?」

「確かにそうかもしれないね・・・」

「おかしいだって?」
あ、ちなみにこの人はウィーズリー兄弟で3番目の兄のパーシーさん。

「あの人は天才だ! 世界一の魔法使いさ! でも少しおかしいな、うん。君、ポテト食べるかい?」

ハリーは遠慮がちに返事をし、テーブルに視線を戻すと・・・

「あ、はい。・・・!!」

ハリーが目の前のテーブルを見て驚いていた。
何かあるのかな?

「ハリーどうしたの・・ってうわっ!?」

気付かない内に目の前にある大皿が食べ物でいっぱいになっていた。これも魔法か!

私の隣ではカケルが「うおーっ! ゼツボ―的にうまそー!」とか言っていた。

テーブルにはたくさんの料理があって何を先に食べて良いのか分からなかったので、とりあえず目の前にあったローストチキンを皿に取った。なぜかハッカ入りキャンディもあった。


「おいしそうですね」

「!!」

あぁ・・・なんだゴーストか。此処に来てからゴーストの存在が当たり前の様に思えてきて喜んで良いのか悲しんで良いのか分からなかった。

「食べられないの?」

「かれこれ500年、食べておりません。もちろん食べる必要はないのですが、でもなつかしくて。 まだ自己紹介しておりませんでしたね。ニコラス・ド・ミムジー-ポーピントン卿と言います。お見知りおきを。グリフィンドール塔に住むゴーストです。 おや、貴方は何処かでお見掛けしましたね。」

お見掛けした? 
そう思って記憶を辿ってみると、確かに裏庭で会ったゴーストだった。

「ニコラス卿でしたか!」

「はい。貴方もこの寮に選ばれてとても嬉しいですよ。」

「僕も、君のこと知ってる!」

「兄さんたちから君のこと聞いてるよ。『ほとんど首無しニック』だ!」

「むしろ、呼んでいただくのであれば、ニコラス・ド・ミムジー・・・」

「ほとんど首無し? どうして『ほとんど』首無しになれるの?」

「ほら、このとおり」

私が悲鳴を上げたと同時にりんねちゃんも叫んでいた。流石りんねちゃん。
「「きゃあっ!!」」

怖かった。正直言ってあれは怖かった!!

私達が驚いていると、ニコラス卿もとい「ほとんど首無しニック」は嬉そうな顔をして頭を元に戻し、咳払いをしてからこう言った。

「さて、グリフィンドール新入生諸君、今年こそ寮対抗優勝カップを獲得できるようがんばってくださるでしょうな? グリフィンドールがこんなに長い間負け続けた事はない。スリザリンが6年連続で寮杯を取っているのですぞ! 『血みどろ男爵』はもう鼻持ちならない状態です・・・・・・・スリザリンのゴーストですがね」

へぇ。スリザリンも凄いね。

そしてスリザリンのテーブルを見ると、虚ろな目・げっそりとした顔・衣服は銀色の血の様な液体でべっとりと汚れているゴーストがしかめっ面のドラコ君の隣に座っていた。

今なら私、ドラコ君の気持ちが分かる気がする。

「どうして血みどろになったの?」

「私、聞いてみたこともありません」

「・・・・(苦笑)」
私、苦笑なう。



全員が満腹になったところで食べ物は消え去り、お皿が新品の様に綺麗になり、デザートが現れた!

ありとあらゆる味のアイスクリーム、アップルパイ、そしてもの凄く甘そうなパイ、エクレア、ジャムドーナツ、トライフル、苺、ゼリー、ライスプディング!!

勿論甘い物に目が無い私にとって、これは天国!

「お、美味しそう!!」

「本当ね!! どれから食べようか迷う〜♪」

「うっ、お前ら食い過ぎ・・・」

「何言ってんのよカケル。 スイーツは別腹に決まってんでしょ! ね、ヒナコさん!」

「勿論だよ!」

「すげェ。」
あのカケルでさえも、食べ物に対して嫌そうな表情をするなんて思ってなかった。


私はカケルに「いやいや、こんなの当たり前だよ!!」なんて言いながら、4皿目のケーキに手を伸ばそうとした。

その時。

「イタッ!」

ハリーが手で額を覆っていた。

「どうしたの?」

「いや、何でもないよ」

「そっか」

そして、二口目を口に運ぼうとした時。

「ねぇヒナコ。あそこでクィレル先生と話してるのは誰?」

あの紫ターバン先生(笑)の隣・・・

「クィレル先生の隣・・・? あ、魔法薬学を教えているスネイプ先生だよ。」

その言葉に、パーシーさんが反応した。

「スネイプ先生だって? あぁ。そういえば、闇の魔術に凄く詳しくてクィレルの席を狙ってるらしいよ」
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