Tales of yield 本編

□-第一章-
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−走りながら−

カピィ:待って!!待ってってば!!話を聞いて!!

ラフラ:来ないでください!!

カピィN:なんだろうこの子……!小さい子にしては足がすごく早い……!!

モンスターA(虫タイプ):ぎゃああ!!

モンスターB(鳥タイプ):ぴぎゃあああ!!

モンスターC(虫タイプ):ぎゃあああああ!!

カピィ:魔物ー!?こんなときに!!しかも3体……!!やるしかない……!!

(戦闘)

(走る音)

カピィ:何ここ……広いところに出たなぁ……!!あの子!!……と、あれは……魔物……?でも、違う……魔物生体の授業では見たことないような……

ラーラ:きゅう……

ラフラ:こ、怖がってるじゃないですか!や、やめてください!!

魔物A:ぴぎゃああ!!

カピィ:!!!危ない!!!!

ラフラ:やめて!!!!

(炎の魔法発動)

モンスターB:ぴぎゃあああああああ

カピィ:!?今……詠唱なしで魔術を使った……?

ユティル:カピィ!!後ろ!!!

カピィ:!?ま、まずい!!

魔物B:ぎゃあああああ

レムス:瞬迅剣!!

(数発斬る)

魔物C:ぐぎゃあああああああ

レムス:ふぅ、危なかったな。

カピィ:あ、ありがとう……

ユティル:おい、あの子、倒れてるぞ!!

カピィ:本当!助けなきゃ!

イスラ:大丈夫よ、気絶してるだけみたい。

レムス:おまっ!!いつの間に……

イスラ:あら?この程度の気配、読めなきゃやっていけないわよ?

レムス:ぐぬぬ……

ラフラ:ん……

カピィ:あ、目を覚ましたみたい!

ユティル:おい、大丈夫か?

ラフラ:えっ……あ、あの……。!!あの子は!?

カピィ:あの子?

イスラ:たぶん、あそこの木の陰で隠れている子じゃないかしら。

カピィ:あの子……さっき襲われてた子だ……

ラーラ:きゅう……

ラフラ:ご、ごめんね、怖がらないで……

ラーラ:きゅう……!

(とことこ歩く)

ラフラ:え?あ……

カピィ:傷口を舐めてる……

イスラ:!?怪我してるのね、……足出して。

ラフラ:ええ!?

イスラ:変なことしないわよ!さ、出して。

ラフラ:は、はい……

イスラ:癒しよ……ファーストエイド。

(治す)

ラフラ:あ……痛くない……

イスラ:応急処置よ。これでいくらか痛みは消えたと思うわ。

カピィ:立てる?

ラフラ:あ、ありがとうございます……

(光(ぱあああ))

カピィ:えっ!?

ラフラ:な、何!?

ユティル:光った……?

レムス:光ったな……

イスラ:……ねぇ。

ラフラ:な、なんでしょうっ!

イスラ:そんな緊張しなくていいわ。体調とか、変な感じはしないかしら?

ラフラ:……?どこも……

ラーラ:きゅう?

ラフラ:えっ!?あ、うん、大丈夫……

ラーラ:きゅうきゅう♪

ラフラ:そ、そんな……!

ユティル:……なぁ

レムス:ああ……

カピィ:きゅうきゅうくらいしか聞こえないんだけど……

イスラ:会話、してるわねぇ……

ラフラ:え?あ、なんか……急に言葉が聞こえてきて……

イスラ:まぁ、少し様子を見ましょう。

ラフラ;は、はい!

(回復術発動)

カピィ:えっ!?

レムス:今度はなんだ!?

ユティル:広範囲回復魔術……か?

イスラ:こんなことが……!

ラフラ:あ、あの……すみません、私、興奮しちゃうと色々出ちゃうんです……すみません……

イスラ:そ、そんなに謝らなくていいわ!えーっと……

ラフラ:あの?

イスラ:あ、ごめんなさいね、まだ名前、聞いてなかったから……まずアタシから自己紹介するわね。アタシはイスラ=アイリーンよ。よろしくね。

ユティル:俺はユティル。ユティル=ラツィアーレ!で、こっちが双子の妹の……

カピィ:カピィ=ラツィアーレだよ!

レムス:レムス=モンロクィートだ。

ラフラ:わ、私……ラフラ、です……よ、よろしくお願いします……

イスラ:ラフラちゃんね、ありがとう。それで……興奮しちゃうと魔術が発動しちゃうのね?しかも、結構難易度が高い魔術を。

レムス:さっきの、スラム街であった火事もラフラだったんだな……

ラフラ:は、はい……

イスラ:うーん、魔術のコントロールをうまく制御できればいいのだけれど……

住民A:あぁ……いたいた、おーい!

ユティル:お、お前ら……!!(威圧

住民B:ああ、違う違う!謝りに来たんだ。

レムス:謝る?あんなひどいことしておいて、許されるわけがねぇだろ!!

住民A:ひっ!!お、お許しを!!

カピィN:なんだろうこの人たち……さっきと全然態度が違う……何かにおびえている……?

住民B:わ、悪かったなラフラちゃん。さ、帰ろう。

ラフラ:あ、あの……

住民A:みんな待ってるぞ。

ラフラ:……っ

イスラ:みんな謝ってるみたいよ。帰ったら

(さえぎるように)

ラフラ:いや!!

(パチン)

住民A:お、おい!

ラフラ:感じます……!あなたたち、心から謝ってない!!聞こえます……!!だから、私は帰りません!もうあんな思いは嫌なんです!!

住民B:なっ……!

ラフラ:あれはあの家の人たちにいじめられて……それで……だから!!けど、家を燃やすのは悪いことです。それは謝ります。だけど、いじめはもう嫌なんです!!!

イスラ:いじめ……?アタシ、そこまでは聞いていないのだけれど……?

住民A・B:ひぃっ!!!!

イスラ:帰りなさい、二度とアタシ達に近づかないでちょうだい。

住民A:お、覚えてろよ!!

住民B:ラフラ、お前の居場所はもうどこにもないぜ!!

ラフラ:えっ……

(走り去る)

ラフラ:居場所……もう……どこにも……帰る場所も……ない……(泣きながら)

カピィ:ひどい……

(深呼吸してから)
ユティル:なぁ、ラフラ……

ラフラ:は、はい……(泣きながら)

ユティル:俺達と、こないか?

ラフラ:え……?

イスラ:何バカなこと言ってるの……!この旅はお遊びじゃないのよ!!

ユティル:じゃあイスラは、ラフラを見捨てるんだな。

イスラ:……っ!そんなことないわよ!ただ……危険な目に合わせたくない。

レムス:それは街に帰ったっておんなじだと思うけどな。

イスラ:……一理、あるわね……ラフラちゃん。

ラフラ:……はい

イスラ:もし、もしもよ?アタシ達と一緒に行くなら、危険がいっぱいあると思うわ。

ラフラ:……行きたいです、行かせてください!私も……イスラさんたちに恩返ししたいんです!ちゃんと魔術とかコントロールして、文字のお勉強して、皆さんのお役にたちたいです!!

イスラ:ラフラちゃん……

ラーラ:きゅうきゅう!

ラフラ:え……?ほんとう!?

カピィ:この子、なんて言ってるの?

ラフラ:「僕も行きたい、ラフラと一緒にいろんな世界を見たい!ラフラにも助けてもらったし!」……だそう、です。

カピィ:へぇ!懐かれたのね!いいんじゃないかな!

ラフラ:じゃあ、お願いしてもいい?

ラーラ:きゅうきゅう!!

ラフラ:!!いいよ!ありがとう!!私も同じだよ!

カピィ:今のは何て?

ラフラ:「いいよ!僕、ラフラの一番の友達になりたい!いいかな?」だって!ふふっ♪

カピィ:よかったあ!……いいよね?三人とも!

ユティル:俺は構わないぜ。

レムス:俺も。

イスラ:……まぁ、いいわ。そうしたいなら。

ラフラ:!!ありがとうございます!!

ラーラ:きゅきゅう!!

ユティル:じゃあ、この子に名前付けないとな!

カピィ:この子、なんていう種類の動物?というか、魔物?

イスラ:この子は……絶滅が迫っている魔物ね、人を襲わないのよ。確か……ラーガルフリョゥトルムリン?

レムス:なげぇ……

イスラ:通称ラーガルよ。

レムス:先に言えよ!!

ラフラ:……ラーラ、っていうのはどうかな?

ラーラ:きゅう!!

カピィ:お、この鳴き方、OKってことかな?

ラフラ:はい!気に入ったそうです!

ユティル:おう、よろしくなラーラ!

レムス:足手まといになるなよ〜?

ラーラ:きゅう!(怒ってる感じで)

(炎)

レムス:あつ!!あっつ!!!!

イスラ:言い忘れていたけれど、ラーガルは火属性のモンスターよ。炎を吐いて敵から身を守るらしいわ。

レムス:先に言え!!!

ラフラ:ふふっ!

カピィ:じゃあ、行こうか!イスラさん、ここからインフェルノはどっちかな?

イスラ:あそこのけもの道をまっすぐ、だったはずよ。よかったわね、迷わなくて!

ユティル:どういうことだ?

イスラ:ここ、迷いの樹海って呼ばれてるくらい、道が複雑なのよ。ここが中心って感じね。だから、後の道はわかりやすいのよ。

レムス:じゃあ、カピィを見失ったりしてたら俺達……

イスラ:迷ってたかもね。

レムス:……考えるだけでも恐ろしいぜ……

カピィ:道もわかったことだし、しゅっぱーつ!!

ラフラ:はい!
ラーラ:きゅう!

(走る音)

ユティル:おい!置いてくなよ!!

レムス:迷子になるぞー!!

(走る音)

イスラ:……はぁ。この先の旅、なんだか大変になりそうね……

(歩く音)

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