ことりのうた

□学校生活
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「夜月、歴史のノート見せて」

「いいけど、なんで?」


朝、私の机の側に寄ってきてそんなことを言うのは、クラスメイトの尾浜勘右衛門だ。

私は正直、彼が苦手だ。


何せ、モテるのだ。彼は。
フレンドリーな性格と抜群のルックス。

そして学年一のイケメン集団と呼ばれるうちの一人。
今こうして話しているけど、他の女子からの鋭い視線が半端ない。


しかも私は、彼とあまり親しくない。
だから今こうして彼が私に話しかけてくることに、私自身も驚いているのだ。


「ほら、俺この前保健室行ってて授業休んだじゃない。それで見せてもらいに来たってわけ。

夜月のノート、すごく綺麗って先生に褒められてたでしょ」


「そうかな…?ま、そういうことだったらいいよ。はい、どうぞ。」


すると尾浜くんはパラパラとノートのページをめくって言った。

「やっぱり。

ねえ、夜月、今日の放課後から
俺にノートの取り方教えてよ」


「…はぁ!?」

「いいでしょ、ね?」

キラキラとした目で私を見つめてくる尾浜くん。
うぐっ…そんな顔で…やめてくれ…!!

「で、でも、私部活が…」

「んー、夜月って何部?」

「美術部だけど」

「じゃあ丁度いいや。
俺が美術室に来る」


私が尾浜を呼び止めようとすると、チャイムが鳴った。

朝読書なのでみんな席に戻り、本を取り出し読み始めた。

私たちもそれに従うしかなかった。

「はぁ…」


ちらっと尾浜くんを見ても、読書に集中しているだけ。

これから、どうなるんだろう…私
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