高黒
□ご褒美は笑顔でいい
1ページ/4ページ
帝光時代、黒子を守るのは自分達の役目であり使命だった。
黒子は何も気付いていなかったけれど、「キセキの世代」に一目置かれている「幻の6人目」として有名になった事で、「キセキの世代」に近づく手段として利用しているのが見え見えだったから、黒子に近づけさせるわけにはいかなかった。
赤司の言いつけで声をかけ、自分にころっとなびいたらイコールそういう事なので、なびいた後は勘違いさせないように努めながら表面上では友達、本心では自分の外見だけで群がってくるその他大勢の1人として扱った。
黒子は誰にでも分け隔て無く優しいから勘違いする人間も少なくなく、付き合っているつもりで黒子を「私の彼氏が」と自慢している図書委員の後輩もいた。
全力で黒子から遠ざけたら、しばらく黒子がキセキの誰とも部活関係の連絡以外で口を聞いてくれなかった。
誰に何をされた言われたなど彼女は言わなかったようだが、経験上の観点で黒子は感づいたらしい。
黒子を守るのは、これから先も自分達だけだと思っていた。
別々の高校に行くと今度は黒子のチームメイト達も黒子を守る立場になったけど、「黒子の親友」としての座は譲れないと。
「ちはーっス!」
WC予選が近づいたこの日、黒子を迎えに誠凛に行って。
「くろ「黒子なら10分くらい前に帰ったぞ」」
黒子っちいますかと聞く前に、火神がそう教えてくれた。
「何か、他校のダチと会うって」
「他校の友達?オギワラ君スか」
「あ?誰だオギワラって」
「あれ、聞いてないんスか?小学校の頃の黒子っちの友達っス。俺らもそれ知ったの中3の全中後なんスけど」
「ふうん、あいつそんな古い付き合いのダチいるのか、聞いた事ねえけど」
オギワラ君ではないと思った。黒子なら言うはずだから。「オギワラ君という古い友人に会うんです」と。
「分かった、ありがとっス。探してみるっス」
「その辺にはいねえと思うぞ」
「根性と愛情で見つけてみせるっス!」
「探す前に電話かメールしてみろよ」
「出てもらえないし返信ももらえないんで。あんまりしつこいと最短でも1週間は着拒されるんスよね、今日もう電話2回メール8回してるんでそろそろヤバいんス」
「よかったな、お前から8回目のメール来た時あいつ「次電話かメール来たら着拒します」つってたからな」
「ギリセーフっスね、さすが俺!」
「着拒されかかってる時点でアウトだろ」