高黒

□[2]合宿1日目@*target 高尾*
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『合同合宿かぁー、こりゃとうとうバレちまうかもな』

「バレたら困ります」

『俺は困らねえよ?』

合宿の話を聞いた帰り道、いつものように高尾と電話をする。

「ボクは困ります。誠凛の先輩方はともかくとして、あの人達は何をするか本当に予測がつかないので」

突然の合同合宿の申し出がその証拠ですと呟く。

『キセキの連中か?それだけ大切にされてるって事じゃん』

「大切にしてもらえてるのはありがたいです。でも、その弊害が君に行くのは不本意はなはだしいんです」

『相変わらずテッちゃんは難しく考えすぎなんだよなー』

「ボクはまじめに話してるんです」

そんなとこも可愛いけど、と続いた言葉に黒子はそういう事ではないですと返す。

『まあ俺の事考えてくれてるわけだし可愛い恋人からのお願いでもあるし、とりあえずまだ黙っとくけどさ』

「合宿では呼び名、気を付けてくださいね」

『はいはい、分かってますよ「黒子クン」』

「……今はまだいいんです」

ぼそりと呟いた黒子の言葉を拾って、高尾は電話の向こうでテッちゃんわがままとおかしそうに笑った。




そして始まった合宿1日目。

「夏合宿ではち合わせた時も思ったけど、相変わらず寝癖すげーなお前」

それが、朝集合して黒子を見た時の高尾の第一声。

寝癖のひどい黒子の髪なんて、あれから本当は幾度となく見ている。

けれどそれを皆に悟られるわけにはいかないから、高尾はわざと感心するかのように言った。

「そのうち直ります……ちょっと、やめてください」

「いーじゃん、ついでだし直してやんよ」

わしゃわしゃと頭を撫でるように寝癖を直してやると、黒子が顔をしかめるが高尾は口笛を吹きながら続ける。

「何のついでですか」

「お前をからかうついで?」

「緑間君、この人ぶっ飛ばしていいですか。……緑間君?」

高尾と緑間は、バスケ部として活動する時はいつも一緒にいる。

高尾の隣にいた緑間を見上げると、緑間は何かを観察するかのようにじっと高尾と黒子の様子を見ていた。

「何ですか」

黒子の不審げにも似た不思議そうな声に、高尾も黒子の髪をかき回していた(撫でていた)手を止めて緑間を見る。

「真ちゃん?何、どうした?」

「高尾」

不思議そうな2人を見つめていた緑間が、ようやく口を開いた。

「うん?」


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