黄黒
□[scene8]黄と黒@〜姉の懸念〜
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6月18日午前5時10分。
黒子は、ふと目を覚ました。
(中途半端な時間に起きてしまいました……)
誕生日前日だからと黄瀬姉が気を使って外出したためちょっと頑張ってしまった夕べ、いつ寝たのか記憶がない。
視線を少しあげればそこには黄瀬の寝顔があって、あどけないその頬を緩く撫で、腕枕をしてくれていた黄瀬の腕の中で黒子は目を閉じもう少し寝ようとしたけれど。
「ん……黒子っち?もしかして起きてる?」
肩と腰に回っていた腕の力が増し、ぎゅうと抱き締められてまた黒子は笑みをこぼす。
「すみません、もしかしてさっきので起こしてしまいましたか」
「ん……いいよ、きもちかったし」
黄瀬は未だ眠そうに黒子の髪にキスをした。
「今何時?」
今日は日曜日。部活は午後だけだから、ゆっくりイチャ付こうと決めていた。
「5時過ぎです」
「もう少し寝る?それとも、……時間を忘れるようなこと、スル?」
高校生らしからぬ艶を帯びた瞳で見られて、黒子の胸がドクンと鳴る。
「隣、お姉さんが戻ってるんじゃ、」
「帰ってきたの1時過ぎ。爆睡してるはずだから起きないよ」
「朝の黄瀬君は夜に負けず劣らずスゴいので、声を抑えきる自信がないんです。起こしてしまいます」
「最高級に可愛い事言ってくれるっスね。喜んでいいやら残念やら」
ちゅ、と額にキスをして、黄瀬は少し体をずらすと黒子と視線を合わせた。
「幸せ」
「黄瀬く……ん」
唇に、キスをする。
「誕生日の朝、目が覚めたら黒子っちが腕の中にいてくれてるなんて、すごく幸せっス」
黄瀬の、黒子にしか見せない年相応な無邪気な笑顔にほわんと心が温かくなり、黒子はぴたりと黄瀬にくっついた。
「やっぱり寝る?」
「はい。……寝ます」
「……だめなんじゃなかったの?」
ちょっとしたニュアンスの違いをくみ取って黄瀬が黒子の頬を撫でると、挑発するかのように黒子はその手を取って手のひらにキスをした。
「いっかいだけ、なら。せっかくのお誕生日ですし」
「贅沢なプレゼント。……いただきます」
黄瀬の瞳は確かに欲情の色を見せていて、黒子はつい「我慢させてしまってごめんなさい」と言い。
「も、ほんと可愛すぎっ……」
直接肌に触れる黄瀬の手にゾクゾクしながら、黒子は黄瀬にしがみついて耳元で「おたんじょうびおめでとうございます」と囁いた。