暗闇の中から

□[1]光の世界
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「好きです」

告白されて。

「ごめんなさい。ボク、彼氏いるんで」

容赦なく振る事に、黒子はもはやこの相手――先輩の高尾には申し訳なさなど微塵も感じない。

何故なら、告白されるのはこれが初めてではないどころか、ゆうに50回は越すからだ。

それに。

「通算52戦全敗……どうすれば振り向いてくれるの」

「清志君に何一つ勝ててないのに、どうしてボクがあなたを振り向くと思えるんですか」

「テッちゃん冷たい……でもそんなとこも好き!……ぶっ!」

何かにつけては抱きつこうとする、抱きつき癖があるから。

けれど今日は、腕に抱いているもののおかげでそれを阻止出来た。

「テッちゃん今日は何なのその腕に抱いてるの」

「緑間先輩からお借りした、今日の水瓶座のラッキーアイテムであるペンギンのぬいぐるみの、ぺんぺんのすけ君です」

黒子の身長の半分はあろうかというペンギンの手を持って、振り振りする姿は可愛いが。

「ぶはっ!それ、名前ぺんぺんのすけっての!?さすが真ちゃん、ねーわそのネーミングセンス!ぎゃはははは!」

「この子はボクがラッキーアイテム用にと緑間先輩に差し上げたものです。緑間先輩に名前を付けるよう頼まれて、ボクがぺんぺんのすけ君と名付けました」

黒子の淡々とした言葉に、高尾の笑いがぴたりと止まる。

「緑間先輩と、一緒にいた清志君と黄瀬先輩と幸兄さんと虹村さんは可愛い名前だって誉めてくれたのにそうですか、お腹を抱えて笑うほどおかしいですか」

「えっちょっと待って何そのメンバー、何でそん時俺いないの?てか、ぺんぺんのすけってテッちゃんが付けたの?いやよく考えれば可愛いね、ぺんぺんのすけ」

「この前のお休みに皆で遊びに行ったんです。高尾先輩は知らなくて当然です、声かけてませんし。それに無理しなくていいですよ、お腹を抱えて笑うほどおかしいんでしょう?」

一気に言い切ってスタスタとその場を後にする。

「待ってテッちゃん、ごめんって」「その馴れ馴れしい呼び方やめてください」、いつもの会話を交わしながら歩く先で、緑間がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。

「もうすぐ部活の時間だぞ黒子、何をしていたのだよ」

「ごめんなさい、また性懲りもない高尾先輩から告白されてました」

「またか。本当に性懲りないのだよ」

「性懲りない性懲りない言わないで!」


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