黒受け
□付き合ってみた結果。
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ボクは、同年で部活も同じバスケ部の緑間君が苦手だ。
嫌いとまではいかないけれど、何か苦手。
ラッキーアイテムだとか言っていつも場にそぐわないもの持ってるし。
あまり笑わないし(あまり表情を表に見せない点ではボクも人の事は言えないけど)、何を考えているか分からないし。
何より前に「俺とお前は相性が悪い」と、星座占いの観点らしいけどはっきりと言われたし。
ボクの親友を自称する黄瀬君は、相手にされなくても果敢に構われたがるある意味勇者だけれど。
ボクは、出来ればあまり関わりあいになりたくはない人。
だったはず、なのに。
「……別に構わないのだよ、付き合ってやっても」
何故こんな事になってるんでしょう……。
ボクには好きな人がいる。
同じ年で、頭が良くて、優しくて、バスケ部主将も務める赤司君。
だけど、赤司君が好きだなんて誰にも言えない。
だって赤司君は日本が誇る大財閥の御曹司で、後継者としてお父様の期待に応えられるだけの能力を持っていて、将来は良い家柄のお嬢様と家庭を……。
(ああ、改めて考えると切ないですね……)
ふと視線を下にやると、赤司君が渡り廊下を歩いている。
その隣には、一番の仲良しらしい緑間君。
付き合っているんじゃないかと一度噂が立ったくらいいつも一緒にいるけれど、赤司君の「そんな訳ないだろう」の鶴の一言で噂は立ち消えた(さすが赤司君です)。
やがてふと赤司君が顔を上げ、ボクを見つけると笑って手を振ってくれたからボクも会釈で返す。
赤司君の行動を見て緑間君もボクを見たけれど、特にこれと言ったアクションはなかった。
「くーろこっち、何見てんの?」
ボクの親友を名乗ってはばからない黄瀬君は、前はよく抱きついてきたりしてたけど最近は大人しい。いい事です。
「ぼんやりしてただけです」
「ふうん」
黄瀬君にしては気のない返事をして、ボクの前の席に座る。
「ねえ黒子っち。俺前々から思ってたんスけど」
「何ですか?」
赤司君達の姿はもう見えない。ということは、もうすぐ廊下を通る。
「黒子っちって、好きな人いるよね。部内に。てか、キセキの中に」
黄瀬君の言葉に、廊下側に視線を向けようとしていたボクの動きが止まる。
「隠しても無駄っスよ。俺分かってるんスから」
「……何、を、ですか」