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□特訓です
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誠凛との練習試合が決まったとの話を聞いた、部活終わり。

『マジバでいいですか?バニラシェイクが飲みたいです』

「おおっ!?」

携帯に届いていたメールを見て、予想外のその内容につい大声を出してしまう。

「ビビった、どうした」

「何だようるせえ、轢くぞ高尾」

「何なのだよ高尾、騒がしいぞ」

「どうかしたのか?」

突然の高尾の大声に、木村、宮地、緑間、大坪の順に声を上げる。

「ちょ、真ちゃんごめん、今日一緒に帰れねえわ。お前後ろに乗せてチャリア呑気に漕いでる場合じゃねえ……!」

「は?」

高尾は今までにない高速で着替えをすませると、バァン!と音を立ててロッカーを閉める。

「すまっせん、お先に失礼します!」

部室を出て行きかけてくるりと振り返り、深々と頭を下げて誰かが口を挟む間もなく慌ただしく部室を後にした。

「何だ、あいつどうしたんだ緑間」

「知りません」

「知っとけよ、相棒だろうが。轢くぞ」

「何でも知っているという訳ではないのだよ。それにあいつの行動はたまに予測不能すぎて、俺の中では未だ未知の生命体なんです」

「ひでえなお前」

ひでえが否定も出来ねえと宮地は笑った。

それで会話は終わったため、緑間は高尾が出て行った部室の入り口を見る。

「…………」

しばらく見つめた後視線を逸らし、いつもなら騒々しく話しかけてくる高尾を邪険にしつつ巻くテーピングを取り出した。



チャリアカーを置いて学校を出た高尾は、急いで走る。

夏休みが過ぎ学園祭も終わるとすぐにWC予選のため、WCの練習が本格化してきた。

最近は、デートに誘っても練習疲れを理由にひどく申し訳なさげに黒子にお断りされていた。

なので、その申し訳なさげな声に高尾の方が申し訳なくなって、デートに誘うのはなるべくしないようにしていた。

デートが出来なくてもメールが出来る、電話も出来る、そんな高尾の気遣いに気づいた黒子もたまには苦手な自撮りで写メを送ってくれたりしている。

それだけでもすごく嬉しかったのだが、やはり直接会いたいという欲求には勝てないもので。

無意識に送ってしまったのだ。

『今日少しでもいいから会えないかな』

送ってからしまったと思ったけれど、送ったものはしょうがない。

黒子には断られるだろうから、その時は「俺がごめん、無意識だった」と言うつもりだったのだが。


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