黄黒

□[scene20]夏休みの出来事@〜迷惑なライバル宣言〜
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やっかいな奴に懐かれた。

これが、今自分の目の前にいる人物に対する火神の率直な感想である。

「火神君、ボクは君に大変嫉妬しています」

「何でだよ」

「君は、ボクが黄瀬君に「黒子っち」と呼ばれるまでにどれだけの日数を要したか分かりますか。10日ですよ、10日。それなのに君と来たらわずか1週間足らずで「火神っち」なんて呼ばれて、ボクはすごくショックです」

「そう呼んでくれなんて俺が頼んだ訳じゃねえ、むしろ今すぐやめてほしい、てかそんな嫌み言うくらいに嫌なんだったらおめーが呼ぶなって言えよ、したら止めんだろ」

「なんてもったいない事を言うんですか。黄瀬君に「っち」と付けられるのは認めてもらえた証拠ですよ、喜んでください」

「めんどくせえなお前!どんな返事すりゃ納得すんだよ」

「黄瀬君を好きになるのはしょうがないんです。あんなに魅力的な人ですから惹かれないはずはないんですが、1つ忠告しておきます。黄瀬君はボクのですから火神君には……いいえ、誰にもあげません」

「い ら ね え よ」

(誰か助けて!)

火神は、遠巻きに自分達を見ている誠凛レギュラーを振り返る。

「よかったな火神、他校に友達出来て」

「友達じゃねえよ!です!」

「黒子ー、そいつ口悪いけど根はいい奴だから」

「そんなフォローいらねえです、小金井先輩」

(早く戻って来やがれ黄瀬ぇぇぇぇ!!)

事の起こりは、キラキラの笑顔をたたえた黄色い彼が、この水色の少年を誠凛に預けに来たのが始まり。

「小一時間で帰ってくるんで、その間黒子っち預かってほしいっス」

「てめえらのチームメイトに頼めよ」

「うち今日部活休みなんで」

「ガキじゃねえんだ。家に帰せ」

「だめっスよ。黒子っちの家もうちも今日誰もいないし。黒子っちは寂しがり屋なんスから」

「そうですよ寂しがり屋なんですから」

黄瀬に買ってもらったのだというバニラシェイクをズコーと飲む黒子は、黄瀬の言葉にあわせてこっくり頷き。

「じゃあ黒子っち、ちょっと行ってくるスね」

黄瀬は火神の話なんて聞かず、

「黒子君のデータ取っていいなら預かるわよ」

とのリコの言葉に、

「黒子っちがいいならいいっスよ」

「ボクなんかのデータ取っても役に立つかどうか分かりませんがそれでいいなら」

とあっさり交渉成立してしまって、皆の前で怯むことなく黒子にキスをして仕事に出かけたのが40分前。


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