another story
□通常黄黒の黒子がもしもシリーズの世界に遊びに来たよ。
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ドリンクを飲んで目を閉じたら、クラリと目眩を起こした気がした。
ゆっくりと目を開けると、そこは目を閉じる前とはガラリと変わってしまった風景。
「黒子っち、大丈夫?もうすぐ休憩終わるっスよ」
「……黄瀬君。君、何してるんですか」
「ん?何って?」
「何でここにいるんですか」
「何でって。今日は仕事ないから部活……黒子っち?どうしたんスか」
黒子の様子がおかしい事に気付いたのか、黄瀬が頭を撫でる。
「やめてください」
「……黒子が黄瀬の手を拒否した……だと……!?」
いつものようにパンと手を払うと、途端にざわついた周りの声もいつもとは違う。
そこで黒子は、自分の周りにいるのが笠松達海常のメンバーで、この場所が海常の体育館である事に気付いた。
「……ええと、つまり確認しますと、ここはボクが知るのとは別の世界だという認識で間違ってないですね?」
いったん落ち着いて話を聞いた。
黒子は海常バスケ部のレギュラーで、黄瀬とは人目をはばからないイチャ付きを披露する、海常公認の仲良しカップルである事。
黄瀬というよりはむしろ黒子が黄瀬にべったりで、長く話せなかったりするのは精神的に駄目である事。
黄瀬が仕事の時も、例え半日だけの時も暇を見つけては自撮りの写メ付きのメールを送りあっている事。
黄瀬に可愛いと言われると嬉しげに笑って、頭を撫でられると幸せそうに目を細めて表情を柔らかく崩す事。
我慢が出来なくなったら、人目があってもそれが自分達の関係を知る人間だったなら構わずハグしあう事。バスケ部一軍メンバーでそのシーンに出くわしてない部員はいない事。
「それ絶対話盛ってますよね!?」
「いや、要点をかなり簡潔にまとめてこれだよ。本当はもっと色々ツッコみどころ満載な事やってる。全部聞きたいか?」
「いえ、もう結構です。ええと……里内君」
黒子の様子を見て、「その分じゃ黄瀬が言っても信じらんねえだろ、里内に聞け」と、笠松に紹介されたが今ここにいる黒子はあいにく里内を知らない。
「俺から名前も聞いた事ないっスか?」
「ないですね。ボクの知ってる黄瀬君は、ボクが自分の身近にいる誰かに興味を示すだけでも漏れなく嫉妬する人ですし」
「……何かすいませんっス、そっちの世界の俺が」
「「君」が謝る事ではありませんよ」
何気なく言った黒子の言葉に、黄瀬がピクリと反応した事には誰も気付かない。
「もしかしたら、そっちの世界では黄瀬とも仲良くしてねえかもな、俺」
「なぜですか?」