another story

□通常黄黒の黒子がもしもシリーズの世界に遊びに来たよ。
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こんなところも違う。自分の知る黄瀬は、こんな風にじっと見ている事に気付いたら無いしっぽをぶんぶん振りながら突撃するかのように抱き付いてくるから。

「いえ……君がボクの知る黄瀬君よりだいぶ大人っぽいので……戸惑ってます」

「そう?キミも俺の黒子っちよりだいぶ大人っぽいスよ」

ふわりと優しく髪を撫でる仕草は、同じだった。




部活どころではなくなったので今日は解散と言われ着替えるために部室に行って、黄瀬だらけのロッカーに唖然とし。

スマホ持ちな事にも驚いたが、待ち受けが黄瀬の満面の笑みでそれ以外にも黄瀬だらけの画像でいっぱいのアルバムと、メールの送受信や電話の発着信もほぼ黄瀬で埋め尽くされている履歴に絶句し。

家に帰ると、母親に「あら、今日は黄瀬君お仕事じゃないのに黄瀬君のおうちにお泊まりしないの?珍しいわね」と言われ。

普通にご飯を食べていると携帯のありかを父親に聞かれ「部屋に置いてきました」と、言外にスマホは扱い方が分かりませんし、と付け加えると「何だ、黄瀬君と電話しないのか。珍しいな」と言われ。

朝は祖母に「おはようテツ君、黄瀬君との朝の挨拶はもうしたのかい?」と言われ。

黄瀬が迎えに来てくれていたので一緒に学校に行くと、手を繋ぎもしない、黄瀬と歩いているのに表情をあまり見せもしない黒子に、すれ違う皆が驚き。

休み時間、黄瀬の膝に黒子が乗らない事を里内以外の皆が不思議がりこの世界の黒子の女友達だという数人に「どうしたの黒子君、何で黄瀬君の膝に座らないの!?」と珍種の動物でも発見したかのような顔で見られ、ガクガクと肩を揺さぶられ(黄瀬が「どれだけくっつかずに我慢出来るか実験中らしいんスよ」とフォローしてくれたけど)。

昼休みには、部室で黒子はすでに根を上げていた。

「罰ゲーム受けている気分です」

「ダメージ半端ないみたいっスね」

クスクス笑う黄瀬の言葉に、黒子は抱えていた頭を上げる。

「君に関しても、やっぱり調子が狂います」

「そう?」

「ボクの知る黄瀬君はそんなに理性的ではありません」

「意外とモロいっスよ。黒子っちが満面の笑みで駆け寄ってきたりしたら我慢出来なくて抱き締めるしね」

その時のこの世界の自分は嬉しげに黄瀬に身を預けるのだろうと容易に想像出来てしまって、黒子は深くため息をつく。

「ねえ黒子っち?」

「何ですか」

「黒子っち、実はすげぇ俺の事好きっスよね」

「自意識過剰なところは同じなんですね」

「自意識過剰?ほんとに?」

声が耳元で聞こえてぎょっとした。黄瀬の顔が、すぐ間近にある。


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