another story

□通常黄黒の黒子がもしもシリーズの世界に遊びに来たよ。
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「俺らが仲良くなったきっかけって、黄瀬が仕事でいない日に黒子が黄瀬と携帯で話してて、黒子の「分かってますから。黄瀬君は、必ずボクの元に帰ってくるって」っつー言葉に反応したからだし」

「……この世界のボクって……」

あまりにも自分がしなさそうな事、言わなそうな事ばかり聞かされて、まるで全く他人の話を聞かされている気分だ。

「お前さ、誠凛行ってるって言ったじゃん?なら、こっちの世界の黒子は今誠凛にいるって事だよな?」

「入れ替わってしまってるならそうでしょうね」

「つー事は黒子にとって、一瞬前までは隣にいた黄瀬が突然火神になったって事だよな?」

「火神君の隣に座っていたので、まあそうなりますね」

「ヤバいですね」

「ヤバいな」

「ああ、非常にヤバい」

「何ですか」

返した言葉に、里内と笠松と森山が相次いで深刻そうに呟き、黒子はつい黄瀬を見る。

「違う世界だと認識して、俺とも意識して半年以上会ってなかっただけでなく違う学校に行ってるって知ったら、ショック受けてると思う」

「……はい?」

「それから、再会した時の「黒子っちください」を断ったのも、もったいないって泣いてるかもっス」

「……泣い…………?」

「きっと、キミの言う「いつものように迎えに来た俺」に抱きついてるかもね」

「……それ本当にボクですか……?」

目眩がしそうです、と頭を抱えると、黄瀬が小さくクスリと笑う。

「俺から見れば、懐かしいっスね」

「はい?」

「俺に自分からくっついてこようとしない黒子っち。去年の春先以来っス。それまでは、こっちの黒子っちもキミみたいな性格だったっスから」

「じゃあ何でそうなってしまったんですか」

「色々あったんスよ」

「…………」

黒子は、じっと黄瀬を見る。

(黄瀬君、なんです、よね……?)

外見や声は間違う事なく黄瀬だ。

けれど、まとう雰囲気が全然違う。自分の知る黄瀬より、だいぶ大人っぽい。

いや、大人っぽいというより、どこか近寄りがたささえ感じる。

自分と皆の間に、目には見えないとても分厚い透明の壁を置いて誰にも知られずに、こちら側には来させないと、来たら許さないと牽制しているかのように。

黒子の知る黄瀬も嫉妬心からたまにそんな雰囲気を醸し出す事があるが、この黄瀬はそうしているのが「当たり前」なのだろうと思わせるほどに、それが自然だ。

(少し、不気味、かも)

「ん?なぁに黒子っち、そんなじっと見られたら照れるっスよ」


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