another story
□もしもシリーズの黒子が通常黄黒の世界に遊びに来たよ。
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今は、ごろごろとなつく黒子を膝に抱き頭を撫でてやっている。
「そう、問題はそれなんだよ。本当に突然だったんだ」
火神の話ではこうだ。
普通に練習をこなし、休憩時間になるといつものように黒子はドリンクを飲んだ。
一息ついて目を閉じたと思ったらすぐに開けて、辺りをきょろきょろと見渡すからどうしたと声をかけると、火神を見て驚いたような顔をすると。
「なぜ火神君がここにいるんですか?」
そのセリフだけだったら、俺がお前の近くにいちゃいけねえのかと返せたけれど、次いで黒子の口から飛び出した言葉に耳を疑った。
「え……あれ?ここもしかして誠凛ですか?黄瀬君どこですか?」
話せば話すほど、自分達の知る黒子ではないと思った。
だから結論づけた。「コレは何らかの理由で違う世界から来た別の黒子なんだ」と。
「コレって。でもよく思いついたっスね、そんな非科学的な事」
「その黒子が言ってたんだよ。黄瀬とそんな話をしたばっかだって」
「俺と?」
「もしかしたら、付き合い始めの黒子っちみたいに高校になっても俺にツンツンな黒子っちのいる世界もあるかもしれないね、お前がそう言ったんだと」
「……中々難しい事思いつくっスね、向こうの俺は。……っと、」
ぐらりと傾いた黒子の体。
支え直せば、黒子は眠りはしていなかったもののうとうとと今にも眠りそうな顔をしていた。
「黒子っち?眠いんスか?」
「はい……すみませんきせくんもうおちそうです……」
舌っ足らずにそう言いながら目をこする黒子のその仕草は、黄瀬にとっては破壊力抜群で。
「眠っていいっスよ。俺が責任持って黒子っちの家まで連れて帰るんで」
「いやです……」
「え、そこ否定するんスか!?」
「いやです……いつもみたいに、きせくんのおへやできせくんにだっこされてねむりたいです……」
それだけ言うと、黒子はそのまま黄瀬の胸元に頬を押しつけ眠ってしまい。
「……いつも一緒に寝てるんスか?そっちの俺らは」
後に残された黄瀬の、その表情をうかつにも見てしまった火神達は。
「おい。見るからに「あっちの自分」がうらやましいって顔すんじゃねえよ」
「うらやましくならない訳ないじゃないスかっ。俺の黒子っちは、泊まりにおいでって言うと変な警戒するし、泊まりに来ても同じ布団で寝ようとすると変な警戒するし、同じ布団で寝ても抱っこしようとすると変な警戒するしっ」