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□彼のいない3日間〜誰も勝てない〜
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黒子は黄瀬に抱きついて、いつも以上に弱々しく頼りなげに泣いていた。

「黒子っち、ごめんね。泣かないで」

黄瀬が髪に柔らかくキスをするけれど、黒子は首を横に振るだけで顔を上げない。

「すぐに帰ってくるから」

今度は小さく首が縦に揺れるけれど、黄瀬の服をぎゅうと掴む手は強くなる。

「そろそろ行かなきゃ」

ちゅ、ちゅ、と髪に額に耳にキスを続けると、やがて黒子は顔を上げたけれど。

「ま、毎日、お電話くれますか……?」

「うん。俺も、毎日黒子っちの声聞きたいし」

「ま、毎日、写メくれますか……?」

「うん、送るっスよ。だから、黒子っちも写メちょうだいね?」

「はい。あと、それから、……遠く離れてても、大好きです……」

「うん、ありがと。もちろん俺も黒子っち大好きだよ」

「黄瀬君……っ……」

「もうそろそろいいかしら」

強く強く抱きしめられた腕の中、黒子が目を閉じて大きく息を吸い込み黄瀬の香りを体内に浸透させる作業に勤しんでいると、その隣でその光景を呆れたように見ていた黄瀬のマネージャーが声をかけた。

「あ、すんませんス。もうちょっと、」

「だめよ、もう時間ぎりぎりなんだから」

トントン、と指さした時計は出発5分前。

「もう、しょうがないっスねぇ。じゃあ黒子っち、行ってくるね」

「はい。ごめんなさい、ギリギリまで」

ぐす、と鼻を鳴らす黒子に小さくキスをする。

今日から、黄瀬は部活のみならず学校も3日休んでの仕事に出かける。

そう、3日。わずか3日。

それでも、その3日は黒子が黄瀬に依存するようになってから初めて長く離れる期間になるため、黒子の不安度は黄瀬にとっては楽観視出来ないほどにはかり知れない。

一応里内に常に一緒にいてもらえるようお願いはしているし、メールも電話も暇があれば頻繁にするつもりでいるけれど、それでもまだ不安だ。

「黄瀬君にたくさんぎゅうしてもらえて、たくさん黄瀬君充しましたので、大丈夫です」

ふふ、と笑う顔はそれでも尚元気がなく、明らかに黄瀬に心配をかけまいと強がっている様子が分かって、黄瀬はもう一度黒子を強く抱きしめた。

「すぐだから。すぐ帰ってくるから。そしてまたこうやって抱きしめて、たくさんキスするから」


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