暗闇の中から
□[1]光の世界
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―ぎゃああああ!
―黄瀬やめろ、もういい!
―何で?こいつらは手加減なんて一切しなかったのに、何で俺が手加減してやんなきゃなんないの?
―悪かっ……俺達が悪かったからっ……
―反省の色が見えない
―ぎゃあっ……
―黄瀬!やりすぎだ、本当にもうやめろ!
「あいつも、随分と人が変わったものだ」
「あいつって黄瀬?何、前どんなだったの」
「お前は絶対に信じんから話さんのだよ」
「そんなの分かんないじゃんか!」
「うるさいのだよ」
ぎゃあぎゃあ騒ぐ高尾を置いて、スタスタと先に帰る。
「……少ししゃべりすぎたか」
知らないなら知らないままでいいのだ。
せっかく「光の世界」にいる事に慣れた友人の、光など感じられない寂しく悲しい過去など。
とすっ。
柔らかい手つきで黒子の体をベッドにおろし、その脇に座って宮地は髪をさらさらと撫でる。
お腹いっぱいになって、部活の疲れも手伝ったのかご飯を食べながら黒子はうとうととしていた。
秀徳のバスケ部員数は関東でも群を抜いている。マネージャーは他にもいるが、マネージャーのリーダーも勤める黒子は仕事量も半端無い。
帰るぞと立ち上がらせて手を引くと、頭をかくんかくんと揺らしながらもバニラシェイクはどうしても飲むという黒子を宥め賺し車に乗せると、そのまま眠ってしまったのだ。
「……う……?」
慣れ親しんだ部屋の匂いに気付いたのか、黒子がぼんやりと目を開ける。
「起きたか。もう家着いたぞ、このまま寝ろ」
「……おふろ……」
「今起きたら眠れなくなるぞ。明日早めに起こしてやっから、朝入れ」
「……きよしくん……」
「はいはい」
ぽやんとした顔で見上げる黒子の要求を名前を呼ばれただけで察して、宮地はそれに答えて黒子の手を握る。
黒子は宮地の手を両手で包み込み頬ずりをすると、そのまま深い眠りに入った。
「おやすみ」
しばらく身動きせずに寝顔を見守り、手の力が緩んだところで黒子の額にキスをして部屋を出る。
ぱたんと扉を閉めると、静かな室内。
2人で暮らしても十分な広さのこの部屋で宮地と黒子が同棲を始めたのは、黒子が高校に入学するタイミングだった。
幸せだと、一緒にいられるのが嬉しいと笑ってくれた。
だから宮地は誓ったのだ。
『ボクにもう関わらないでください。大変迷惑です』
無感情な瞳、抑揚のない声、何もかもがどうでもいいと態度で示していた頃の黒子には、絶対に戻さないと。
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黒というより私のネーミングセンスね……ぺんぺんのすけ……(笑)。
はい、てな感じで初の宮黒長編開始です!
なのにほぼ緑メインっぽくなったのは何故だ/(^o^)\
高は今回ちょっと可哀想な立ち位置かもしれませんが、これは黒なりの気遣いなのです。
黄は黒への恋愛感情は皆無です。ただ、可愛くて仕方ないのは変わらないのでよく頭撫でてます。気持ちいいので黒もまんざらではないようです(笑)。