暗闇の中から

□[1]光の世界
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部活が終わり緑間や高尾と外に出ると、宮地が車で黒子を迎えに来ていた。

側には、黄瀬もいる。

「よっ、お疲れ」

「お迎えありがとうございます、清志君」

にこりと笑うと、いつものように宮地の目が細められ手がわしゃわしゃと黒子の髪を撫でる。

「このまま飯食い行くぞ。たまには外でいいだろ」

「はい。黄瀬先輩もご一緒ですか?」

「お疲れ黒子っち、そんな野暮はしないっスよ。俺はついでに拾ってもらっただけっス」

ぺろりと舌を出す黄瀬に、黒子がきょとんとして宮地を見ると、黒子の視線の意味に気付いた宮地がコクンと頷いた。

「優しくした女の子にまた勘違いされて、その子の彼氏と修羅場ってたところを清志君に見付かったんですか」

「誤解っス!普通、前から重そうな荷物持った女の子いたら、手伝ってあげるでしょ!?どうすれば荷物持っただけで好きだと勘違いされてあなたのために彼氏と別れたのなんて言われると想像出来るっスかって話っス!」

「ふふ、分かってますよ。そういう親切を当たり前に出来るのが黄瀬先輩ですから」

「…………」

「黄瀬先輩?」

「……黒子っち、撫でていい?黒子っちの頭撫でていい?」

「はあ、別に構いませんけど、今回はなにゆえに」

「黒子っちが可愛いから」

お許しが出たので、黄瀬は嬉々として黒子の髪をぐりぐりと撫でる。

「清志君、ボク」

「バニラシェイクは飯になんねえぞ」

「……じゃあデザートで」

「はいはい。じゃあ行くか」

「ではボクはこれで失礼します。緑間先輩、高尾先輩、お疲れ様でした」

黄瀬に頭を撫でられ続けるまま、器用にぺこりと会釈する。

「ああ、また明日な」

「お、おー……」

黒子から返却されたぺんぺんのすけを腕に抱く緑間は普通だが、高尾は多少ひきつりながら手を振った。

車が見えなくなった頃。

「ねえ真ちゃん」

「何だ」

「どうすれば俺も黄瀬みたいにテッちゃんに頭撫でさせてもらえるかな」

いつも断られるんだけど、と言う高尾に、お前は下心がありすぎなのだよ、と返す。

「でもさー、俺ももっとテッちゃんと仲良くなりたい訳よ、分かる?」

高尾の言葉に、いつかの黄瀬の言葉が甦る。



『今のままじゃだめっスよね。俺も、緑間っちみたいに黒子クンと仲良くなりたい。……決めた。俺、』



「……黄瀬ぐらい努力したら報われるのだよ」

「何をどう努力すんの」


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