黄黒

□リップと金髪
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(早く黄瀬君にぎゅってしてもらって頭ぽんぽんしてもらいたいです……)

現在黒子は、最近めっきりミスディレクションが効かなくなりつつある女友達の前で、自分の意志とは反する形で座らされている。

「ごめんね黒子君、少しでも早く黄瀬君と会いたいだろうけど、もう少し我慢してね」

「無理です今すぐ黄瀬君に会いたいです黄瀬君不足です会わせてください」

「うわおノンブレス。本当にあと少しだから!ね、黄瀬君に可愛いって言ってもらいたいでしょ?」

「う、」

それを言われると弱いけれど。

「黄瀬君は、いつでもボクを可愛いって言ってくれますっ」

「やだノロケられちゃった」

きゃあとはしゃぎながらも黒子を解放する様子のない彼女たちは今、黒子に女装させメイクをしている。

今日は文化祭。

黄瀬は今、体育館に殺到したファンの相手をしている。

最初は黒子もそこにいたのだが、あまりの人の多さに黒子が潰されてはいけないと、たまたま通りかかった彼女達に黄瀬が黒子を預けたのだ。

そしてここに連れてこられて、待ってるだけじゃなくてメイクしてあげるとメイク道具を用意して今に至る。

あれから30分。そろそろ黄瀬がファンを撒いて黒子を捜している頃だ。

「はい、出来た!」

「やだー、やっぱり可愛いー!」

「黒子君、目開けていいわよ」

言われて目を開けるとそこには、いつか黄瀬に「女の子な黒子っちも可愛いね」と抱っこしてもらった時より完璧な女子……もといメイドさんがそこにはいた。

頬はチークでうっすらと色付き唇はリップでみずみずしくなっている。

黒子が目を爛々と輝かせたのはその完成度云々より、かぶせられていたストレートロングのウイッグが黄瀬と同じ金髪だったから。

「リップ渡しとくから、可愛さのあまり黄瀬君にキスされて取れちゃったら彼につけ直してもらいなね」

「ウイッグは水色のも用意してたんだけど、金髪の方が黒子君嬉しいかなって」

「ありがとうございます。とても素敵です」

彼女達の言葉をよく聞けば最初から黒子を女装させる気満々だった事が分かるが、黒子がそれに気付く事はなく。

微笑ましげに見守られる先で、黒子は髪の毛を手でさらさらと流しながら「黄瀬君とお揃いです」とうっとりしていた。



そしてその状態で外に出ると。

「女神発見!」

森山に見つかってしまい。


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