高黒

□[14]合宿4日目*tell*
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「昨日の約束を、今すぐ撤回したい気分だわ」

私たちの天使がっ……と大げさにも顔を覆って泣くリコに、日向と小金井が大きく頷く。

昨日の約束とは。



「悔しいけど、私達だってその笑顔奪いたくなんかないのよ」

黒子を抱きしめる高尾、肩を抱きしめる高尾の手に無意識なのだろうすり寄る黒子は目を丸くしていて。

「赤司君の言葉に乗る訳じゃないけど、何もしないわよ。邪魔したりもしないわ、黒子君が笑ってる限りはね。その代わり、あなたといる事で黒子君が少しでも辛そうな顔見せたら徹底的に邪魔してあげるから」



つまり、黒子が笑っているならば邪魔はしないと。

「あああでも高尾君にすり寄る黒子君超可愛かったやっぱり天使……!」

わっと、もはや何に対してなのか分からないが泣くリコに、皆もうんうんと大きく頷いた(火神以外)。






一方の高尾は。

「早朝風呂で思い切りイチャつこうと思ったのに先客ありとか……」

浴場に着くと、来ていた青峰と桜井の姿を見てシクシクシクと泣いていた。

「ほらやっぱりそのつもりだったんじゃないですか。おはようございます、青峰君と桜井君」

「おう」

「すみません、おはようございます!先に入っててすみません、邪魔をしてしまってすみませんすみません!」

「邪魔じゃないですよ、むしろボクは桜井君とお話ししたいです。隣行っていいですか?」

「は、はいどうぞ!すみません!」

バシャッ!と立ち上がった桜井は、同じ勢いでお湯に浸かり直す。

「え?待ってテッちゃん、俺は!?」

「君はどうぞ青峰君と盛り上がってください」

「俺らの接点ほぼ無いに等しいんだけど!」

「あのすみません、いいんですか?」

「いいんです。彼はコミュ力無限大なのですぐに青峰君とも打ち解けますよ」

ギャーギャーと騒ぐ高尾に桜井が黒子を見ると、言葉は素っ気ないが笑みを浮かべている。

黒子はパシャンと小さくお湯を鳴らして桜井の隣に座った。

「ありがとうございます」

「はい?」

突然お礼を言われて、何の事だと桜井は首を傾げる。

「ボクと和君の事、気付いた時に誰にも言わないでくれて」

ふわりと笑った顔は初めて見たあの笑顔に似ていて、桜井は少しだけ顔を赤くする。

お湯のおかげで元々火照っているので、黒子には気付かれなかったけれど。

「い……いえ、すみません……」

「なぜ謝るんですか?」


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