for you
□えんきょりれんあい
3ページ/3ページ
(かーわい……黒子っちマジ天使)
「きせくん」
「はい?」
「おやすみなさいのじかんですね。めいくらぶしますか?」
「しませんよ」
(口から出る言葉はちょっとアレだけど!)
はいお布団行こうねーと抱き上げると、黒子の頬が不満げに小さく膨れる。
「ボクはほんきですよ。めいくらぶのいみもちゃんとわかってます」
「なお悪いっス」
「おくちのちゅーはなんかいもしてるのに、なんでめいくらぶはだめなんですか」
「黒子っち、本当は意味分かってないでしょ」
黒子を片手で抱き直し、部屋の扉を開けて黒子を自分のベッドの上に下ろす。
「きせくんは、いつになったらボクのいうことをほんきにしてくれますか」
「そっスねー、黒子っちが、立ってる俺にちゅー出来るくらい大きくなったらっスかね」
「せのびしてちゅーでもいいですか」
「いいよ」
クスクス、笑う黄瀬が本気にしてくれていないと感じて、小さく膨らんだ黒子の頬がしぼむ事はなかった。
「んう……」
それからどれくらい時間がたったのだろうか。
薄暗い部屋の中、抱き締めていてくれたらしい黄瀬の腕の中から起き上がって目をこすった黒子は、どうやら自分はいつの間にか眠ってしまっていたらしい事に気付いた。
薄暗くとも人の顔が分かる程度にはほのかに照らされた電気の下、黒子は隣で眠る黄瀬を見る。
「きせくん」
いつもしてもらっているように頬や髪を撫でてみるが、黄瀬は完全に寝ているらしく起きる気配がない。
「としのさも、えんきょりみたいなものですね」
自分が幼いせいで想いが届かないのなら。
それもまた遠い遠い心の「距離」。
「しんちょうなんて、すぐにおいついてやります」
黄瀬に顔を近づけて、無防備な唇にキスをする。
「ボクはほんきですよ」
頬にもキスをすると、黒子は黄瀬の腕に頭を乗せて、黄瀬の温もりと香りに安心して目を閉じる。
やがて微かに寝息が聞こえ始めた頃。
黒子の頭が乗っているのとは逆の腕が持ち上がり、その手が自分の唇を押さえる。
それは当然、寝相なんかではなく。
「本気だっつーのが伝わってるから、困ってるんスけどね……」
実は起きていた黄瀬は、自分の腕枕ですうすうと眠る黒子を見る。
(さてどうしたもんか)
とりあえず、たつやこと氷室にはこれ以上黒子に変な事を教えないよう釘を刺しておこうと、固く心に誓った。
end
リクエスト
「9000HITキリリク黄黒で黒子ショタ続編」
私の甥っ子ちゃん達がご飯食べてからお風呂入って寝るんでその感覚で書きました。
名前だけ火と氷登場。
氷は黒が何でも素直に聞いてくれるから面白がってるだけです←
お気に召していただけましたら嬉しいです。
お持ち帰りは、リクエストくださったセリカ様のみ可です。
リクエストありがとうございましたv