高黒
□[13]幸福の連鎖ーhappinessー
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「で、俺見付けて嬉しさ余って抱きついたんだ」
「嬉しさ余っては余計です」
口では可愛くない事を言いながらも、黒子は頭を高尾の肩に摺り寄せる。
地下室にはベッドがない。
今は壁にもたれかかるように座っている高尾に抱き抱えられるようにして、黒子はその心地よさに眠りそうになっていた。
「テッちゃん、眠いなら少し寝ていいよ」
時間はもう日付を越す時間だろうか。
随分と話に時間がかかってしまった。
「ん……」
揺れる頭を支えるように高尾が頭を撫でてくれる。
うとうとし始めた時に、高尾が妹に電話をしようとしたのか、電源を切ったままだった携帯をつけようとするも充電切れの警告音が鳴り、
「げ、充電切れてら」
と、ごめんなテッちゃんうるさかった?と大きな音を立てた事を謝ってきた。
それにふるふると頭を横に揺らしギュッと高尾にしがみつくと、体を抱き抱え直して髪にキスをし背中をポンポンと撫でてくれる高尾の手の心地よさに安心して、意識を手放した。
次に目を覚ました時。
(……っわ!)
声が出そうになり、黒子は慌てて口を押さえた。
高尾の肩に頭を預ける形になっていたからか、高尾の寝ている横顔がドアップだったから。
(かっこいい)
こんなにマジマジと高尾の顔を見るのは初めてかもしれない。
朝まで一緒に過ごした事がないわけではないけど、高尾は意外にも黒子より寝起きがいいらしく、いつも先に起きて黒子の寝顔を優しく見下ろしているから。
「高尾君」
小さく呼び掛けると、モゾ、と動いて高尾が目を覚ます。
「……うあ、寝てた」
黒子にチュッと軽くキスをして携帯を見る。
「今何時だろ。テッちゃん時間大丈夫?」
「え?」
「帰るまでに時間制限とかないの?今回特例なんだろ?」
「特に無いですよ」
「そっか、よかった。なら、もうちょっとイチャ付こ?」
グラリと変わる視界。
気が付くと、また黒子は押し倒されていた。
けれどそれが抱くつもりでの行動でない事はすぐに分かった。
「高尾君……?」
「なあテッちゃん。未来の俺は、この後どうした?」
「どうって、」
「特例を認めざるを得ないほどの何かを、俺はその動画の中で言ってんだろ?」
高尾には、動画の内容は再会した時の事以外は話していない。
この後「どうするか」……それも黒子は知っているけれど。