黄黒

□[scene10]黄と黒A〜計り知れない恐怖〜
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それは黒子が人前で黄瀬とイチャ付く事に戸惑いを見せなくなって2ヶ月目、全中三連覇を達成した直後突然の事だった。

「テツがバスケ部を辞めた!?」

「何故なのだよ。理由は?」

「1人で監督に退部届を持ってきて、「バスケを今以上嫌いになりたくないから」とそれだけ言ったらしい」

「何それ赤ちん、意味分かんないんだけど」

騒然とする中、いつもと変わらない様子で普通に合流した黄瀬を問いつめてみると、いつもと同じトーンであっさりと言った。

「黒子っちが辞めたいって言うから、辞めたいと思うなら辞めるといいよそれが黒子っちの為になるなら、って俺が勧めたんスよ。無理して続けても黒子っちの為になんないしね」

「何、だよ、それ」

「驚いた?突然何言ってんだって思ってる?明らかに黒子っちに変化はあったじゃん、皆おかしいと思わなかったの?」

「……っ」

「どういう事だよ、黄瀬。ちゃんと話せ、いつも一緒にいた俺達は知る権利あんだろ」

「知る権利、ね」

正論だと思えた青峰の言葉に返した、黄瀬の瞳の色は暗く冷たく。

「……優しいあの子が、何も感じてないとでも思ったのかよ」

それは、事情を察していた赤司にさえ一歩後ずさらせたほど。








帝光男子バスケ部「キセキの世代」幻の6人目がバスケ部を辞めたというニュースは、帝光中を駆けめぐり結構な騒ぎになった。

新聞部が早速動き、まずは周りから話を聞こうとした。

男子バスケ部の部長の赤司にはバスケ部のみならず誰も逆らえず、彼が「よし」と言えば全て「よし」になる、それも有名だったから彼に話を聞ければ多少なりとも事情を知ってるだろうバスケ部員に取材が出来る、そう思って赤司を直撃したら。

「今回の件に関しては、僕ですら介入する事を許されていない。だから無理だ」

「許されていない?誰にですか?」

「今、テツヤがもっとも信頼し彼にとって絶対的な存在とも言える涼太にだ。あいつはテツヤの事となると豹変するから、気を付けるんだな」

「豹変するって、黄瀬先輩ですよ?あんな、人の良さを具現化したような人が、」

「テツヤがバスケ部を辞めた経緯を彼に聞いていた時。……無意識だった」

言葉を遮って、赤司は目を伏せる。

「こんな事になるまで何も気付かなかったのかと、瞳に冷たい色を宿した彼に恐怖を感じ後ずさったのは」

「…………!」


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