黄黒
□[scene2]試合当日
2ページ/2ページ
「もうすぐ誠凛来る頃だな。黄瀬に黒子、迎え行ってこい」
笠松の言葉に、黒子とパス練をしていた黄瀬が振り向く。
「何で俺らスか」
「彼らと直接対面してんのお前と黒子だけだからだ。キャプテン命令」
「ういーっス。黒子っち、行こ」
「はい」
持っていたボールを床に置いて、黒子も黄瀬と一緒に体育館を出る。
「ま、うち広いっスからね。迷われても困るし」
「そうですね」
ちょいと服の裾を引っ張ると、それに気付いて黄瀬が笑う。
そんな様子を見て、「おい何だよ、校内デートか?」と声をかけてきたのは、チームメイトでクラスメイトでもある里内。
「おはようございます。遅刻ですよ、里内君」
「はよ。お前らは何やってんだよ」
「誠凛さん出迎えに行くんス。それより、早く行かないとまた笠松先輩からの説教長引くっスよ」
「やっべ、そうだった!」
慌てて走っていく里内を見送って、前に視線を移すと誠凛の皆が歩いてくるのが見えた。
「あ、来た来た」
「黄瀬……!と、黒子?」
「はい」
「うおっ、やっぱりいた。何してんだよお前ら」
「広いんでお迎えにあがりました」
愛想良く手を振った次に、黄瀬は火神の前に立ちはだかる。
挑発したら乗ってくれたので、心の中で笑う。
久々に本気が出せる、手応えのありそうな相手。
そう思っていたのに。
「軽い調整のつもりだからな。黄瀬、お前と黒子は出さんぞ」
「え?」
「お前達、特に黄瀬はここにいる全部員の中でも格が違うんだ。試合にもならなくなるだろうが」
「ちょっと、監督やめて。その言い方マジやめて」
先輩の聞いている前で慌てる黄瀬の隣で、黒子はその通りです監督とコクンと頷く。
「あの……スイマセン。調整とかそういうのはちょっと無理かと……」
「そんなヨユーはすぐなくなると思いますよ」
誠凛の女監督に続いた火神と彼女の言葉には、確かに怒気が混ざっていて。
「……黄瀬君、アップはしといた方が良さそうですね。彼らの様子だと、出番'待つ'とかなさそうなんで」
「同感っス。何かやらかしてくれそうっスよね、特に火神とか」
そんな2人の予想は。
「ゴール壊しやがった!」
試合開始からわずか十数秒後、現実となった。
to be next scene...
色々省きました。
注意書きで「試合外のシーンを」と書いている通り、試合シーンは書きません。
次回はおは朝信者登場です。