高黒
□[2]合宿1日目@*target 高尾*
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「高尾。黒子がお前と浮気など、出来るはずがないに決まっているのだよ」
「いや、本気にすんなよ」
全部冗談だって、と笑う高尾にやはり緑間は不機嫌そうに足早に先に行ってしまった。
「黒子っちと浮気とか、何の話スか」
「真ちゃんからかったら本気にされたって話」
「は?」
「高尾君が非常に楽しそうだったので乗ってみましたが、慣れない冗談は言うものじゃないですね。何だか肩懲りました」
「お前どんだけ真面目なの」
ぎゃははと笑って、高尾はぐりぐりと黒子の髪を撫で緑間の後を追う。
恋人に頭を撫でられて嬉しくないはずがない。
だけどそれを素直に表にも出せない、それがちょっと歯がゆい。
キセキの世代の皆の性格がもっと穏やかなら、いや自分が興味を持たれなければこんな苦労はしなくてよかったと、黒子はそっとため息をついて。
「黄瀬君、早く並びましょう。うちのカントク怒らせると怖いんです」
「知ってるっスよ」
意外に、黄瀬はすんなりと黒子を離す。
「後で俺にもギュッさせてね、黒子っち」
「丁重にお断りさせていただきます」
初めての練習試合の時のようにぺこりと丁寧に頭を下げると、黄瀬もあの時のように「ひどっ!」と返して、次には笑顔でヒラヒラと手を振って海常の列に向かった。
(頭撫でられませんでしたね……珍しいです)
黄瀬も割と、黒子の頭を撫でるのが癖なのに。
いつもと違うそれは、黒子の髪に残る高尾の手の感触を消したくなかったからという黄瀬の気遣いだったのだと黒子が知るのは、もう少し後の事。
「リコさん」
合宿開始の挨拶をかねた全体ミーティングが終わり、宿泊先に向かう中桃井がリコに近付く。
「どう思います?」
「そうじゃないかとは思ったけど、やっぱり黄瀬君と緑間君は違うわね」
この合宿が黒子の恋人を探すためだと、桃井は青峰に聞いた。
合宿前に連絡を取り合った時、誠凛も恋人を知りたいのだという点で利害が一致し、桃井とリコはタッグを組んだ。
こんな時、普段からデータや情報収集能力に長けた2人の連携は最強で。
「高尾君は?」
「うちの男どもは安全圏だと感じたらしいけど、まだまだ甘いわ。油断は出来ない」
「私も同感です」
そして何より「女の勘」は、けして馬鹿には出来ないのだ……。
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周りをもっとわちゃわちゃさせたい。
わちゃわちゃ要員にもちろんきーちゃんは標準装備(笑)