Ifの世界
□第3夜
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ニコニコ笑いつつムギュ、と豆狸の尻尾を掴む、うさ耳をつけ、右目に包帯を巻いた男性。
「ボクは渡狸のSSをやっている夏目残夏だよ☆」
明るくフレンドリー、なのか?
どこか掴めない雰囲気がする。
「ちなみに百目なんだ〜。よろしくね。」
フフフっと妖しげに笑う様子は、確かに何もかも見透かされている気分になる。
「おぉー、百目いいね夏くん。よろしく〜。」
何回も言い続けて、テンプレートになってしまった言葉をまた言う。
「……あッ!よろしくお願いします。」
百目と聞いてぼんやりと考え事をしていた芙羽羅が、早乙女に続いて思い出したように挨拶をする。
はぁーん、何かあるねこれは。
と野次馬根性丸出しな感想を心の中で呟いてみるが、相手が相談でもしてこない限り、根掘り葉掘り聞くつもりはない。
「じゃーあ、部屋の片付けでもするね、っと、高校生諸君、学校は?」
そういえば、と思い出す。
確か芙羽羅は新高2だった気がするし、凜々蝶やカルタ、渡狸はどうみても高校生だ。
「学校はまだ春休み中だ。」
つっけんどんな言い方だが、きちんと返してくれる凜々蝶は、きっと根は優しいのだろう。
……すっごい可愛い。
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