黒執事〜あくまで夢小説ですから〜
□生まれ変わる
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「おい、リシェル。早く準備しろ」
衣服がぼろぼろで、ところどころ血が付いている男が低い声で言った
『あぁ…わかってる』
リシェル・マーブルは帽子を深くかぶり直しながら短く答える
ここはロンドンの裏道にある建物の屋上
そして真夜中だ
なぜ、こんな真夜中に女が居るかというと仕事があるからだった
リシェルの仕事……それはボスから指定された者を殺す。つまり暗殺の仕事だ
リシェルは何度も繰り返し読んだ、今回のターゲットの資料をもう一度見る
『シエル・ファントムハイヴ…………
………12歳………』
『―― 子ども… ――』
リシェルが仕事をしたなかで子どもがターゲットとなったことは無かった
資料に貼ってあるシエル・ファントムハイヴの写真を指でそっと撫でる
『―― あの時の私と同じ歳… ――』
リシェルの目には悲しみと同情がちらついた
リシェルはその思いを振り払うように目を閉じる
そして目を開けた時にはさっきとは違い目に感情が無かった