あお。

□後ろの席の彼
2ページ/2ページ


不意打ちのキスA


真夏のうだるような暑さの中でも授業は淡々と行われる。


あまりの暑さにじっとしてるだけでも汗が吹き出てくる。

わたしはじっと暑さに耐える。
後ろに座っている大輝は珍しく起きているようで、シャーペンの走る音が聞こえる。


たまに窓から大きな風が入って来ては、カーテンを膨らませたり波立たせたりする。

こんな時ほど窓側の席で良かったと思うことはない。


ぶわっ…と、また大きな風が入って来る。

カーテンも合わせて大きく膨らむと、わたしと大輝を包んだ。

視界は突然真っ白になる。

強くて優しい風が長く続いてカーテンはなかなか萎まずに、わたしたちを包んでいる。


突然後ろから肩をつつかれて振り向く。

大輝はニヤリと笑ったかと思うと、ほんの一瞬だけわたしの唇を塞いだ。

唇から離れた大輝はまた笑う。

「こういうのドキドキしねぇ?さつき」



夏がずっと続けばいいのに。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ