愛玩人形

□僕の好きな人
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近くに居れば居るほど伝えられなくて


大好きなのに…


言えないのは…自分が臆病だから?






ある日の休日、俺は自分の家ではなく翔の部屋に居る


昨夜は淳君と研二と三人で遅くまで飲んでた


べろんべろんに酔ってた俺は無意識に翔の家の前に居て、帰りを待ってた


それから暫くして翔が帰ってきて酔ってる俺を介抱して…それからは記憶があんまりない


俺がこんなバカみたいに飲んだくれんのは滅多にない


何でこうなったのかと言うと…



「どうしたの?まだお酒残ってる?」


曲作りに夢中になってPCと格闘中の翔を眺めていたらこっちに気付いて首を傾げる


「んー…いや、多分平気。昨夜は楽しかった?」

「え?う、うん‥やっぱGACKTさんってオーラ半端ないし素敵だから終始緊張しまくりだったよ」


一瞬困ったような表情を浮かべるも翔は何時ものニコニコ笑顔で答える


憧れのGACKTさんとデートしてたんだからそりゃ楽しかっただろうな


翔はご機嫌、俺はイライラ


嬉しそうに誘いに乗って行った翔を見てから俺は酒に溺れた…って訳


やけ酒した所でモヤモヤは消えるはずないんだけど、そうするしかなかった



「さっきから何でずっと僕のこと見てたの?何かついてる?」

「え?や、その…」


鈍感な翔が気付くくらいだからどんだけ見てたんだろ…言葉に詰まる


すると翔は優しく笑って言った


「もしかして構って欲しいの?」

「そうだよ、悪いかよ‥」


翔の言葉に思わず顔が赤くなる


普段は鈍いのに変なところで鋭い


「豊のそういうとこ可愛いよね」

「は?」

「可愛い可愛い」


そう言いながらポンポン頭を撫でてくる


翔の方が断然可愛いのに‥何か複雑な気分


どんな形でも翔に触れられてるってだけでキュンと胸が高鳴る


「普段は男前でカッコいいんだけどホントは甘えたさんって知ってるのは僕だけだから何かレアだよね」

「そう…?」

「こう言うのってアレかな、幼馴染みだからこその特権ってやつ?」


今度は急に悲しくなってきた


幼馴染み……か


翔はそうでも俺は違うよ


ずっとずっと翔だけを見てきたのに


誰よりも傍に居て、誰よりも近い存在なのに‥ただの幼馴染みとしか見てくれてないの?
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