愛玩人形

□愛情表現
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「あのさ、一回でいいから言ってよ」

「何で?」


やんわり微笑む淳君の顔は何時もの天使のような笑顔と違って呆れが浮かんでいる


窓から差し込んでいる夕日に照らされて相変わらず綺麗だけど、それが何か癪に障って仕方がない



「何でって…おかしくね?」


俺がムスッとした顔で呟くと、淳君は溜め息を漏らしてまた呆れたような顔で俺を見る


「聞くけど研二さんは何でそんなに言ってほしいの?」

「淳君に好かれてるっていう確証が欲しいの俺は」


真っ直ぐ淳君の瞳を見つめて訴える


俺は淳君の口から「好き」なんて暫く聞いてない


付き合う前は普通に言ってくれてたのに


告白したのも俺からだったし、好きだと言うのは俺だけ


…俺達って、本当に付き合ってるよな…?


キスもエッチも数えきれないくらいしてるし


淳君だって嫌がったりはしない…寧ろ淳君から誘ってくれる時もある!


応えてはくれるのに、言葉はくれない


仕事仲間やお店のスタッフには頻繁に言ってんのに、俺だけには一切無し


何で?俺なんかした?


柄じゃないけど不安になる


本当は俺なんてどうでもいいのかな…


ただただ流れで付き合ってくれてんのかな…


俺は淳君が好きで好きでたまんないのに…空回りしてる気がする


どうして言えないかな?あんな風に…




「アイス」

「スイス」

「スキッパ」

「え?あー…パンダ」

「大好き」

「キツツキ」

「キス」

「また、す?うーん…す、す、す……すき焼き!」

「キミが好き」

「…キミが大好き」

「キリショー大大好き」

「キャン様大大大好き!」



…それじゃ永遠に終わんないよ、二人とも


ただのしりとりでも愛情表現しちゃうバカップル


喜矢武さんとキリちゃんは何時もこんな感じでラブラブ


お互いが大好きなのがメチャクチャ伝わってくる


どっちかが好きって言えば、その何倍もの好きがちゃんと返ってきてる


愛情には不自由してない感じだからスッゲー羨ましい



「せめてあの二人レベルにはなれない?」

「喜矢武さんと鬼龍院さんだから微笑ましいんだよアレは‥僕達だったら痛いと思うけど」


ええっ!!まさかの完全拒否!?
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