* change of heart *

□13話 心変わり 前編
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その後、職員室に集まった私達はそれぞれのクラスへと配分された。

やはり私の新たな担任はfirstクラスのレンズ先生だった。
茶髪の髪を後ろで結びポニーテールにした活発そうな女性だ。

「よぉーし、よく聞けお前等。俺がfirstクラスの担任、レンズだ。
ちゃんとみんなと仲良くしろよ? アシタバ、 カエデ、ハルシャ」

「はいっ」

元気よく返事をしたのはアシタバくん。
若葉色の髪に黒の瞳を持つ人懐っこそうな少年だ。

「はぁい」

のほほんと返すのは雪を連想させるような真っ白な髪にスカイブルーの垂れ目の少女、ハルシャちゃんだ。
それぞれ返事をし終えてレンズ先生の後を着いていく。そしてレンズ先生に促されfirstクラスの教室へ入った。
視線をクラスにやるとミズキがこちらに向けて小さく手を振っているのが分かった。
ツバキくんはと言うと机に伏せて熟睡していた。

「新しいお前等の仲間だ! 紹介するぞー!因みにsecondクラスに落ちた奴らのことも気にかけてやれよなー。
そして、ツバキ! 起きろ!」

レンズ先生は何処からか空のモンスターボールを取り出すとツバキくんへと真っ直ぐに投擲した。

「いたっ」

見事にツバキくんの頭にヒットする。
クラスから笑い声が起きた。

「ったく、新しい生徒が来てんだから今日くらいは起きてろ」

「サーセン」

気怠そうに後頭部を掻きながらツバキくんは目線を前に向ける。
パチリと目が合った 。

「何で……お前が……?」

ツバキくんの目が驚きで見開かれる。
答えようと意を決したその時、隣で笑い声が聞こえた。

「ふふふ〜。ツバキ、久しぶりやね〜!」

「ハルシャ……なんでここにいんだよ」

「ひみつ〜」

そのもったいぶった回答にツバキくんはハルシャちゃんを睨みつけた。
親しく話しているところをみると知り合いなのだろうか。
チクリと胸が痛む。

「ふぅん。お前等、知り合いなのか。
ま、取りあえず自己紹介だな。
じゃ、アシタバから」

「はい! アシタバです。部活はヒイラギ君率いるバトル部に入ってます。あと半年ですが、よろしくお願いします!」

ニコニコと笑顔で話し終えたアシタバくん。
しかもバトル部って、ヒイラギくんが部長だったんだ。
そして自己紹介の順番は私に回ってきた。

「えと、カエデと言います! thirdクラスから来ました! 部活は入ってないです。これからよろしくお願いします!」

thirdクラスから、のところでクラスから感嘆の声が上がった。
緊張しながらもぺこりと頭を下げる。
するとクラスの白髪の男子が手を挙げ、ニッコリと笑顔で質問する。

「ツバキ君と付き合ってるって本当ですか?」

この質問にハルシャちゃんが興味を持った。

「へ〜。ツバキ、付き合ってるんやぁ〜」

「……へっ? ち、違いますっ!」

「なんだ、つまらないなぁ〜」

「なーんや。しょーもないなぁ〜」

白髪の男の子とハルシャちゃんの声が重なる。
ツバキくんはこのやりとりを眉を寄せて聞いていた。

「ほな次はうちやねぇ。ハルシャって言います。よろしゅう」

片手をひらひらと振りながら簡潔な自己紹介を終える。

「よし。皆、仲良くしろよ。この後はお待ちかねの文化祭のクラス分けの発表をするからなー」

首に右手を当てながらレンズ先生が締めくくる。
こうして私は沢山の不安と期待を抱えたままfirstクラス入りを果たしたのだった。



トレーナーズスクールの学園祭。
この町の名前を取ってセイラン祭とも呼ばれるこの学園祭は毎年開催される。

ランダムに生徒を振り分け十クラス作り、そこで話し合ってそれぞれの出し物を決めるのだ。
因みに、各クラスの出し物の他にも先生や生徒が各自でイベントを催したりする。
例えばファッションショーやバンドやお笑いのライブ、コンテストなどと楽しいものばかりだ。
しかもファッションショーにおいては五期生で現在firstクラスの短期先生であるセツナさんが初の男子生徒優勝を果たしたという伝説が残っている。


現在はクラスの振り分けをレンズ先生が発表している最中だ。
私はツバキくんと一緒にお店を回るという到底実現しそうにない妄想をしながら聞いていた。

結果、クラスは以下の通りになった。

Aクラス  ツバキ ヒイラギ

Cクラス  ハルシャ レン

Eクラス  アシタバ カエデ

Iクラス  ミズキ

私は絶句する。
見事にバラバラになってしまった。
 
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