* change of heart *

□10.5話 夏空に馳せる思い
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*カエデside




ヒンバスのカルミアが仲間になった次の日。
流石に毎日練習している訳ではなくツバキくんは必ず休みをつくる。
今日はそのバトル練習の休みの日。
私はベッドの上で寝転んでいた。


「はぁ……」

不意に溜め息が零れる。


どうしたらツバキくんに振り向いてもらえるだろうか。

私はツバキくんのことが好きだ。
しかしそれに気づいたのは最近のことだったりする。

もともと気にはなっていたけれど、どうしても意志疎通の能力が私の恋愛の邪魔をしていた。
この能力を知られたら相手はきっと怖がるから。私のことを嫌うから。
だからずっと心の奥に閉まった気持ちから逃げていた。

でも、ツバキくんはこの謎の意志疎通能力と向き合ってくれた。
あの日から私の気持ちは確信に変わった。

この人に、ツバキくんに、能力を含めた本当の私自身を好きになってもらいたい――と。


私は徐にエルフーンのぬいぐるみをぎゅうっと抱きしめた。
きっと私の顔はほんのりと赤いだろう。


ツバキくんは私のことをどう思っているんだろう?
テストや今回のバトル練習などの面倒を見てくれることを考えると、期待してしまう。
その一方で弱ったポケモンと称されたことに落ち込む自分もいる。

ツバキくんの言動で一喜一憂している。
本当にツバキくんのことが好きなんだなぁ、と改めて思う。

いつか私はこの気持ちをツバキくんに伝える日が来るのだろうか。
その時、私は『好き』のたった二文字を伝えるのにどれだけの勇気を振り絞ればいいのだろう。

私はぬいぐるみに赤くなった顔を埋めた。

 
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