* change of heart *

□10話 初ゲット!
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私たちの様子を見ていたツバキくんが話しかけてきた。

「終わったか?」

「うん。待っててくれてありがと!」

「気にすんな。オレはこれから洞窟の中を探索するけど、お前はどうする?」

そんなの答えは決まっている。

「私も行きたい!」

「そう言うと思った。じゃあ行くか」

「うん!」

私たちは先程向かおうとしていた洞窟へと足を進めた。








洞窟の中ひんやりとしており、真っ暗だった。
ツバキくんはリンカちゃんを出して洞窟内を照らし出した。

「涼しいねー! こんな所あったんだー!」

「最近見つけたんだ。足下危ないから気をつけろよ」

「うん!」

ツバキくんの言葉通りに足下に気をつける。
ポケモンたちは眩しがって私たちの目の前に姿を現すことはなかった。
しかし時折見かけるここのポケモンは強い。コドラ、ドータクン、ジヘッドなどがいる。
少し前の私だったなら太刀打ちは出来なかっただろう。

「ストップ。何か来る」

ツバキくんは私の前に手を出して静止させ、自分の後ろに隠す。
その行動に嬉しさを覚えながらも私は静かに耳を澄ませた。
遠くから地響きが聞こえてくる。
それはすぐに現れた。

「キシャアアァッ!」

気性の荒だったガバイト。
ツバキくん目掛けて『ドラゴンクロー』を打ち込む為に腕を振り上げた。

「コイツの縄張りだったのか? 面倒くせぇな、リンカ『アイアンテール』!」

「クォン!」

鈍色に染まった尻尾と龍属性を纏った爪がぶつかり合う。
ガバイトはバックステップをして距離をとり大きく息を吸い込むと赤と青の二色が入り交じった炎を吐いた。

「『かえんほうしゃ』!」

ツバキの指示通り高温の炎を吐く。
二つの炎がぶつかり合い洞窟内の温度をみるみるうちに上げていく。

「きゃっ! 熱っ!」

「流石に危ないか……。
フィル、『テレポート』でコイツを洞窟の外まで送ってくれ。その後も一応コイツのこと見といてくれ」

ツバキくんはサーナイトのフィルちゃんを出すと私を見ながら早口に指示を出した。

「えっ? ちょっ……」

抗議の声を聞くことなくフィルちゃんが私の手に触れ、その瞬間に目の前の景色は見慣れた森へと変わった。
 
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