* change of heart *
□9話 傷つく覚悟
3ページ/7ページ
*ツバキside
サーナイトのフィルとカエデの話を聞いて自分なりの結論を言った。
カエデは多分、気持ちの整理ついていないのだろう。ひどく不安そうだった。
でもカエデの不安を消してやる言葉はこれ以上は見つからない。
とりあえず、話を進める。
「……なぁ、自分が傷つく覚悟はあるか、ってあの時に聞いたよな?」
「え? あぁ、うん」
「それは今でも変わらねえか?」
「うん」
カエデに再度、意思を確認する。
動揺した後だったのに気持ちは変わってないようだった。
「お前の能力って同時に使えるか?」
「同時?」
首を傾げるカエデに説明をする。
「例えば人とポケモン、両方の気持ちを送受信できるか?」
「練習すればできると思うけど……」
でも実際にやってみなくては分からないよ。とカエデは付け加えた。
オレはため息を一つ吐くと、自分でも躊躇うような提案をした。
「じゃあ、オレと手を繋ぐの、嫌か?」
「え……?」
きょとんとした顔がオレの瞳に映る。
そして、みるみるうちにその顔に赤みが帯びてきた。
そりゃあ、怒るよな。
つーか、オレの説明不足だ。
「悪い、説明が足りなかった。
お前の能力でオレとお前とポケモンの意志を繋ぐんだ。それでオレの指示をお前を通してポケモンたちに伝える。
……でもそれをやるにはオレに触れてなきゃいけないんだろ?」
「え? あぁ! なるほどね! うん、そうだね! うん!」
焦っているカエデを見て、誤解が解けたとツバキは勝手に確信し、説明を続ける。
「このやり方でお前の頭の中にバトルの経験を叩き込む。まぁ、説明しても分かんねえだろうから実際にやってみるか」
「え、今すぐ?」
「ああ。ポケモン、出してくれ」
「う、うん。出て来て、ガーベラ」
促されたカエデが出したのは夏バテ気味のガーディだった。