* change of heart *

□9話 傷つく覚悟
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*ツバキside



サーナイトのフィルとカエデの話を聞いて自分なりの結論を言った。
カエデは多分、気持ちの整理ついていないのだろう。ひどく不安そうだった。
でもカエデの不安を消してやる言葉はこれ以上は見つからない。
とりあえず、話を進める。

「……なぁ、自分が傷つく覚悟はあるか、ってあの時に聞いたよな?」

「え? あぁ、うん」

「それは今でも変わらねえか?」

「うん」

カエデに再度、意思を確認する。
動揺した後だったのに気持ちは変わってないようだった。

「お前の能力って同時に使えるか?」

「同時?」

首を傾げるカエデに説明をする。

「例えば人とポケモン、両方の気持ちを送受信できるか?」

「練習すればできると思うけど……」

でも実際にやってみなくては分からないよ。とカエデは付け加えた。
オレはため息を一つ吐くと、自分でも躊躇うような提案をした。

「じゃあ、オレと手を繋ぐの、嫌か?」

「え……?」

きょとんとした顔がオレの瞳に映る。
そして、みるみるうちにその顔に赤みが帯びてきた。
そりゃあ、怒るよな。
つーか、オレの説明不足だ。

「悪い、説明が足りなかった。
お前の能力でオレとお前とポケモンの意志を繋ぐんだ。それでオレの指示をお前を通してポケモンたちに伝える。
……でもそれをやるにはオレに触れてなきゃいけないんだろ?」

「え? あぁ! なるほどね! うん、そうだね! うん!」

焦っているカエデを見て、誤解が解けたとツバキは勝手に確信し、説明を続ける。

「このやり方でお前の頭の中にバトルの経験を叩き込む。まぁ、説明しても分かんねえだろうから実際にやってみるか」

「え、今すぐ?」

「ああ。ポケモン、出してくれ」

「う、うん。出て来て、ガーベラ」

促されたカエデが出したのは夏バテ気味のガーディだった。
 
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