* change of heart *

□9話 傷つく覚悟
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目の前の景色から一変して、見たことのある森へと移動した。
ここは確か、勉強を見てもらった際に最初に訪れた場所だ。
自然豊かな景色をバックに沢山のポケモンたちが和やかに生活している。
初めてここに訪れたときの感動は今でも忘れられない。

「ふふっ、ここはいつも変わらないね。
私、この場所好きだなぁ」

「そーだな。オレもここは気に入ってんだ」

辺りを見回して二人は言う。
木陰により涼しくなったこの森はとても過ごしやすかった。のんびりとピクニックでもしたい気分になる。
しかし、ここに来た目的は前とは違う。今日はツバキくんと話をしに来たのだ。

「ツバキくん、話って何?」

ツバキくんの方へ振り向きながら淡い期待を込めて聞いてみる。
ツバキくんは耳の後ろの掻き、言いずらそうに口を開いた。

「……お前の目の能力について、詳しく聞きたいんだ」

「何で、それを…!」

期待から一転して私はパニックに陥った。
ツバキくんと最初に会ったとき以来、この能力は見せていない筈だ。
と言うよりも普段、人前でこの能力は使っていない。

「…フィルから聞いたんだ」

ハッとして、『テレポート』をしてくれたフィルちゃんを見やる。
申し訳なさそうに頭を垂れるフィルちゃん。
何度もフィルちゃんたちとは話をしていた。

「そっか……。じゃあ、聞いてくれる?」

ツバキくんは一度、頷いた。
この事を話したら嫌われるかもしれない。
でも私は全て話した。この能力のことを。

小さい頃の記憶が曖昧でいつから使えるか分からないこと。
この能力は使うと目の色が蒼に変わり相手の気持ちが読み取れたり口を開かなくても自分の気持ちを伝えられること。
互いの信頼関係がないと意志疎通は出来ないこと。
人間相手だと触れていなければ気持ちが読み取れないこと。

話し終えるとツバキくんは腕を組みながら考え事をしていた。
何で驚かないのだろうと思っていたが直ぐに納得した。
事前に知っているのだから。だからわざわざ人気のない場所を選んでくれた。
ゆっくりと目を開きツバキくんは口を開いた。

「多分、お前の能力はテレパシーに近いんだと思う」

「テレパシー……」

エスパータイプとかにテレパシーができるポケモンがいた気がする。
この能力について深く考えたくなかった為、テレパシーという答えはショックだった。

「私、人間じゃないのかな……」

不安で声が震えていた。
テレパシーが使えれば目の色も変わる。
正直、自分が怖かった。

「そんなことねえだろ。カントーのジムリーダーや一般トレーナーにも超能力者はいるぞ?」

カントーのジムリーダーの話は聞いたことがある気がする。 
それを聞いても、私の不安は拭いきれなかった。
 
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