* change of heart *
□9話 傷つく覚悟
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*カエデside
最近、数日に渡っての最高気温の更新が話題となっている。ニュースでは近年稀にみる異常気象だとか。
それもその筈。
現在夏休みの真ん中、つまり夏真っ盛りである。
別に更新しても可笑しくはない時期だ。
この猛暑の中でのバトル練習は流石に辛いものがある。
もちろんカエデもそうであるが、ポケモン達だって例外でない。
元気なのはガーディとキュウコンのペアくらいだろう。と思ったがガーディはダメだったらしく冷房の効いたカフェに避難していた。
同じくカフェに避難していたツバキとカエデは奥の席で話をしていた。
「流石にこれだけ暑いと辛いね」
「そうだな。何か対策を考えないとな」
外を見ながら話すツバキくんの左腕には緑色の腕輪が太陽に反射して光っていた。
二週間くらい前、セツナ先生とツバキくんがバトルをした。
その後に先生に貰ったのだとか。
メガリングというものらしい。ただメガストーンというものが必要らしく今は使えないという。
「そういえば、一つ質問していい?」
話は変わるが、テストの時からずっと気になってた事があった。
ツバキくんは不思議そうにしながらも一回頷く。
「どうして私の事を気にかけてくれるの?」
「あー、それか…。んー…」
腕を組み、考えるツバキくん。
ちょっとは期待してこの質問をしてみた。
だが私の気持ちとは裏腹に予想外の答えが返ってきた。
「……弱ったポケモンに似てるんだと思う」
「へぇー。……って、ええっ!?」
「いや、なんつーか弱ったポケモンに手を差し伸べたくなるだろ? そんな感じだ」
「あー、うーん。そっかぁ。弱ったポケモンかぁ……」
リンカちゃんから聞いた話では、虐められ傷ついたリンカちゃんを介抱したそうだ。
その結果、ツバキくんと一緒にいる。
喜ぶべきか悲しむべきか…。
いや、これは悲しむべきだろう。
落ち込んでいる私をじっとツバキくんが見つめ、話し出す。
「大事な話があるからついて来て欲しい」
「……大事な話…?」
「ああ。場所、移動するぞ」
話とは何だろうか? ちょっとは期待してもいいのかな?
そう思いながらカフェを出て、フィルちゃんの『テレポート』で私たちはその場から姿を消した。