* change of heart *

□8話 カエデの修行
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*ミラ(ゾロア♀)&
スターチス(ゴースト♂)side



『…………』

『…………』

何故かお互いを観察するように見る二匹。
最初に口を開いたのはミラだった。

『ねぇ、あんたさ、旧セイラン屋敷のあのゴースト?』

『そういうお前はセイランシティの悪戯狐のゾロアか?』

セイランシティとは現在ツバキたちが住むこの街の名前だ。
お互いに暫しの沈黙。
だが突然爆発したかのように喋り出した。

『マジで、あのゴースト!? 通りで噂がたたないと思った!』

『この街で有名だったゾロアか! 人間に捕まっていたとはな!』

『アタイは捕まったんじゃない! アタイの意志でツバキについていったんだ!』

『ふーん、まぁどーでもいいや。それよりもよぉ、サボろうぜ。バトル練習なんて面倒くせえじゃん?』

『アタイはツバキにあんたを任されたんだ。 何があっても練習するよ!』

『へぇ、あの悪戯狐が丸くなったもんだなぁ! あのトレーナー、厳しそうだもんなぁ? あんなトレーナーについてくなんてご苦労なこった!』

バチバチと火花を散らすように睨み合う二匹。痺れを切らして攻撃したのはゾロアのミラだった。

『ツバキの悪口を言うなっ!』

黒い球体を作り出して撃ち出す。
自分に向かってくるそれをゴーストは拳で弾いた。

『痛えな! 何すんだ!』

『……取り消せ』

『は?』

『ツバキに言った悪口を取り消せっ!』

ゾロアは先程と同じ『シャドーボール』を連続で撃ち出した。
ゴーストも同じ技で応戦する。
タイプ一致の技を出しているにも関わらずゴーストはゾロアに押されていた。

『何なんだよっ! うぜぇ!』

『消し飛べっ!』

ゾロアは大きく口を開けると鎖のように連なった黒い刃がゴーストに向かって撃ち出された。
ゴーストはその『あくのはどう』を『まもる』で瞬時に防いだ。

『危ねえなっ! 何しやがる!』

『チッ!』

『とことん性格悪ぃな! お前!』

その後、スターチスは発言を取り消すこともなく、ミラとの攻防は続いた。
ミラはバトル練習ということを忘れていたが、結局この私情のみの攻防がバトルの経験になっていたのは二匹とも知る由も無かった。
 
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