* change of heart *
□8話 カエデの修行
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*リンカ(キュウコン♀)&
ガーベラ(ガーディ♂)side
炎天下の最中、ほのおタイプのキュウコンとガーディは向かい合っていた。
『では、始めますよ。ガーベラ君』
『うー、ミラちゃんが良かったなぁ』
『ご、ごめんなさい…。ツバキ様の指示ですので…』
以前、グランブルに襲われたときに一目惚れしたゾロアのミラが良かったと零すガーベラに対し、自分の所為でもないのに謝るリンカ。
同じ炎タイプなので、教えるのは一番適しているとツバキはこの組み合わせにしたのだった。
『ううん、僕だって強くなりたいから!』
『じゃあミラちゃんにカッコいい所を見せられるように頑張りましょう!』
『うん!』
そして練習に取りかかる。
しかしガーディのレベルは低く、満足にバトル出来る力はなかった。
さらには基礎体力も無く直ぐにバテてしまった。
『これは……バトル以前の問題ですね……。まずは簡単な技の『ひのこ』を完璧に出来るようにしましょう』
『……はい』
ガーディは頑張って火を放とうとするが終わりかけのライターのように口元で燃え上がっては消えてを繰り返すだけ。
『…えっと、ですね。…火を出すと言うより、火を飛ばすというイメージの方がいいかもしれませんね』
『はい!』
もう一度『ひのこ』を撃とうとガーディは構えて大きく息を吸う。そして先程言われたことをイメージして火を吹いた。
その『ひのこ』は数メートルしか飛ばず地面に落ちて消えてしまった。
しかしガーベラにとって初めて技が成功した瞬間だった。
『ガーベラ君、出来ましたね! ……あれ、ガーベラ君? …どうしたんですか?』
『……できた。できたよ! リンカさん、ありがとうっ!』
『わあっ、っとっと。ふふっ、良かったですね』
ガーベラはリンカに勢いよく抱きついた。突然の事にバランスを少し崩すが、リンカはしっかりと受け止めた。
『でも練習は始まったばかりです! 少しずつ頑張っていきましょう!』
『うん! よろしくお願いします!』
まだまだ弱く、バトル練習とは程遠くても、強くなるための第一歩を踏みだしたガーベラだった。