* change of heart *
□7話 三色の邂逅
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外へ出るとセツナはfirstクラスの生徒に説明を始めた。
「まず合体技の手本を見せるね。ファング! 『えんまく』から『かえんほうしゃ』!」
ファングと呼ばれたリザードンが誰も居ない場所に向かって黒い煙を拡散させる。
さらにそこに向かって炎を吹いた。
すると、周囲の温度の上昇と共に炎の勢いは増してフィールドの土を焦がした。
「『えんまく』に含まれる炭素によって火力が増すんだ。これ以外にも沢山の技の組み合わせができるんだよ」
皆、真剣にセツナの話を聞く。中にはメモを取る者までいた。
そして各々練習を始める。
するとヒイラギが横にいるツバキに尋ねた。
「火力を上げるなら『わるだくみ』とか『めいそう』とかあるだろ? 何で合体技を使うんだ?」
「リザードはそういう技を覚えねえからな。それに今言った技だと必ず隙が出来ちまう。『えんまく』を使えば相手の視界も奪えるし火力の上昇も出来るからだろ」
「あぁ、なるほど! つか、お前今日はやけに親切だな」
「リンカ、『でんこうせっか』」
「クォウ!」
「ぐはっ!?」
ツバキが出したキュウコンは素早くヒイラギに体当たりをして鈍い音をたてる。
ばったりと倒れ、ピクピクと痙攣しているヒイラギ。
「ちょっと何やってるの!?」
「大丈夫ですよ、セツナ先生。日常ですから」
「俺の時はそんな日常なかったよ!?」
生徒とセツナがやりとりを終えるとセツナは他の自主練する生徒たちに合体技のアドバイスをする。
そこに一人の生徒がやってきた。
「私のスターミーの『こうそくスピン』と『じゅうりょく』を組み合わせを見てもらってもいいですか?」
「うん、もちろん!」
「スターミー、『こうそくスピン』から『じゅうりょく』!」
スターミーが回転しながら木々を越える高さまで上昇する。
するとそこから体重をのせて普段より倍以上かかる重力に身を任せて落下した。
回転するスターミーは、まるで隕石のようにフィールドに突っ込んだ。
砂煙が舞いフィールドに穴を空ける。
「うん、いいんじゃないかな! 後は命中率を上げられるように練習だね!ちゃんと回復も忘れないようにすること!」
「はい! ありがとうございますっ!」
生徒はお辞儀をした後、スターミーに『じこさいせい』を指示する。
セツナはそれを見届けると他の生徒の呼びかける声の方に向かって足を進めた。