* change of heart *

□5話 rainy day
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バトルの授業では自分で相手を探して1対1のバトルする。

ツバキの相手はもちろんヒイラギだった。
しかし直ぐにはフィールドは空かないので順番待ちをしている最中だ。
壁に寄っ掛かりながら待機してるとレンが話しかけてきた。

「ツバキ君、大丈夫? 体調悪い?」

「…いや、大丈夫」

「それなら良いんだけど…。ホント、今日はやけに素直だね。何かあった?」

「いや、別に…」

本当にダメだな…雨の日は。
今でも“あの日”の事を引きずってる。
もう随分と会わない赤髪のアイツ。
自分が弱くて亡くしてしまった、母親。
巻き込んでしまったフィルたち。
時間は過ぎても何も解決はしない。

「おーい、ツバキ勝負だ!」

「……はいはい」

ヒイラギが呼び掛けそれに適当に答えバトルを開始する。
しかし雨の日にバトルしたことが無くこれがどう影響するか分からなかった。
でも精神はパフォーマンスに影響する。
それはツバキでも例外ではない。

「いつもの強さはどうした! 話になんねえぞ!」

サーナイトが防戦一方のバトル。
相手はこちらにとって相性抜群のキノガッサだ。

「…くっ!」

状況把握をする集中力が明らかに落ちていた。時々フィルに攻撃が当たり心が痛む。

「もしかして、オレらが強くなった? いける!勝てる! よし!『ヘドロばくだん』!」

物理技の連続攻撃から特殊技に切り替える。キノガッサが頬に何かを蓄えるように膨らます。しかし放った瞬間にサーナイトの姿が消えた。

「フィル、『マジカルシャイン』」

キノガッサの後ろに『テレポート』をしていたサーナイト。ヒイラギが呼び掛けるがそれは既に遅く、眩い光がフィールドを包んだ。
白い輝きが収まるとキノガッサが倒れていた。

「また、負けた…」

「フィル、ごめんな…。上手くリード出来なくて。お前のお陰で助かった」

ガックリ崩れ落ちるヒイラギとサーナイトに語りかけるツバキ。
雨の日での初バトルはこうして幕を閉じた。
 
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