* change of heart *

□5話 rainy day
2ページ/7ページ


「だあぁー! 何で課題をやんなきゃいけないんだ!」

「寝てたからでしょ? あの先生の話はちゃんと聞いてなきゃ」

課題を貰ってきて愚痴をこぼすヒイラギとそれに冷静にコメントするレン。
自業自得だよ。とさらに追い討ちをかける。

「よし、切り替えよう。次の授業は何たってバトルだからな!!」

「雨が降ってるから屋内でバトルだね。狭いんだよなぁ」

外は昼間なのに暗く、雨音が教室まで響いていた。
雨天のバトルの授業は屋内で行う。
小さいフィールドが4つある体育館で。

「よぉーし、ツバキ! 今日こそお前に勝つぞ!」

「……あぁ、そう」

「どうした? 何時もなら『お前じゃ勝てねえ』とか言うだろ」

「……うるさい」

一方的に会話を終わらす。
少しでも心配したヒイラギたったがツバキにそう返答されてイラついたようで。

「テメェを倒す! 必ず!」

「…帰る」

しかし二人の会話は成立していなかった。
席から立ち上がって帰宅する準備をする。
それを見たヒイラギはがしっとツバキの肩を掴む。

「おい、逃げるのか?」

「…どーとでも言え。お前になんかつき合ってられねえ」

ツバキの肩にのっている手を払おうとした時だった。
ヒイラギがツバキの首の後ろにある襟を掴んだ。

「…おい、テメ…!」

「いいから来い!」

ずるずると引きずられていくツバキ。
だが普段とは違い大きな抵抗はしなかった。
そのまま廊下に連れて行かれる。

二人の姿が見えなくなるとミズキがレンに話しかけてきた。

「どうしたんだ? アイツ」

「体調不良じゃないかな? 顔色良くなかったし、元気ないみたいだし」

「ふーん。他にアイツに変わったことってない?」

「いや、無いと思うけど…。どうしたの?」

「ないならいい。あたしたちも行こうか。遅れる」

いつの間にか教室には二人だけになっていた。
歩き出すミズキとレン。
誰もいない教室には雨音だけが響いていた。
 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ